新海監督は、ゲームのオープニングムービーを作製していて、たった一人で「ほしのこえ」というアニメーションを作って話題になりました。
日本のアニメはある時期から、学校生活等のリアルな日常を描きつつ、宇宙大の物語と隣り合わせになるというタイプのものがいくつか生まれてきました。
庵野秀明「新世紀エヴァンゲリオン」、細田守「サマーウォーズ」、新海誠「ほしのこえ」等です。
庵野監督は、その後自らの実存の問題へとテーマを深化させていきました。
細田監督と新海監督は、僕にいわせれば一種の「ギャップ萌え」です。
「学校」と「宇宙」のギャップ。「田舎」と「都会」のギャップ。それらに見る方は萌えるのです。
細田監督と、新海監督を比べたら、僕は新海監督の方が好きです。
細田監督は、ギャップを頭で考えて作っている感じがします。新海監督の方がより情緒的です。それに、細田監督の作品では女の子があまりかわいくない。そこもぼくにとってはマイナスポイントです。
宮崎駿監督は、外国の高級な絵本を動かしてくれた人という感じです。宮崎監督作品には、スマートフォンはおろか、携帯電話もでてこない感じです。それに対して細田、新海の作品は、スマートフォンと中央線がある僕たちの今生きている東京と田舎の現実を美しく描いてくれます。ちょうど今日、新宿バルト9にいく道で見た風景そのものが作品中にでてきました。
新海監督は、前述したようにゲームデザイナー出身で、コンピュータで仕事をする人です。これから、コンピュータの時代になってアニメーションはどうなっていくのかななどと考えていましたが、ディズニーの3Dのように、ヌメッとした感じにならずに、CGを使って逆に叙情豊かな表現になっているのが面白いと思いました。そして作り手が叙情豊かに作ろうと努力していることもよく伝わってきました。
もともと評価の高かった新海監督ですから、短中編が多かったのが、本気で長編を作ったらこれくらい面白くて、美しい作品が作れるのは当然かもしれません。
ストーリーも新海監督らしいものになっています。僕が感動したのは主人公の少女が町を救おうと必死になる場面です。
ラストは、あまりにも「ベタ」すぎて感動できませんでした。
東京への憧れと、東京の風景の輝きが描かれていますが、東京に住んでいる僕にとっては、東京ってそこまでいい場所か?という気にもなりましたが、物語上はそうあったほうがいいのかもしれません。
新海作品は情緒的すぎて、ちょっと苦手という人もいるかもしれません。それも分らないでもないです。しかし、情緒的にやるなら徹底的にセンチメンタルに徹してもいいのではないでしょうか。人はそういうものに浸りきりたい時もあるものです。人生そう甘くばかりはないというかもしれませんが、人生のある時間は浸ってもいいのでは。そういう作品が全てだということではないのだから。
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