2016年9月10日土曜日

「アメリカン・デモクラシー」の現在

今日は18:30〜朝日カルチャーセンター新宿校の「「アメリカン・デモクラシー」の現在」宮台真司先生、堀内進之介先生にいってきました。

堀内先生によると、アメリカは珍しく国家より社会が先にできた国だそうです。
現在大統領選を戦っている、トランプもヒラリーもこの伝統の上にあるそうです。

宮台先生は、アメリカの特殊性の問題と普遍的問題が存在することを指摘します。
M.サンデルの『民主政の不満』によると、アメリカは、

1.タウンシップの時代=コミュニタリアン
2.産業化の時代=リベラリズム
3.レーガン以降=リバタリアニズム

の段階を踏んできていて、結論からいうとアメリカはもうダメ。もうどうにもなりません、ということだそうです。

保守主義には、経済保守、社会保守、政治保守、宗教保守があって、もうわけがわからない状態だったのですが、それを連携させたのがレーガンだったそうです。しかし、冷戦が終わってまた分かれていきました。

ところで、トランプ候補はもともと民主党で再配分主義者でした。それが、黒人のオバマ氏が大統領になったので今のトランプになりました。これは、リベラル「だから」排外主義である例です。

J.ロールズの『正義論』ではリベラルは普遍的だと考えられていました。しかし、ロールズ自身93年に転向して普遍的リベラルの看板を下ろします。リベラルとは仲間のうちでシェアすることで、仲間じゃない人は排除するということになります。この傾向はイギリスやフランス、日本の連合などにも見られます。

保守は保守で、その基盤となる共通感覚が失われていって、言語的なアドホックなものに流されていきます。

トランプは劣化したリベラルと、劣化した保守を糾合しました。

そもそも、近代社会はうまくいかないのではないか。いや、目に見える範囲を超えた人たちを仲間とする人類の大規模定住社会自体がうまくいかにのではないかと宮台先生は問います。

それから、拡張現実の話になります。
ポケモンGOがはやっていますが、68年原作の「コングレス」という映画が去年公開になりました。この映画のテーマは「「真の現実を見ろ」というのがどれだけ倫理的か」というものです。

フーコーは、「現実に直面させよ」といいました。それに対してローティーは「残酷さの回避」を主張しました。フーコーに倣えば、命がけでものを言っているかが問題となります。フーコーは死をもって自らを語りました。しかし、現在では本気で言っても梯子をはずされてしまうこともあると言います。

宮台先生は、絶望を伝えたいのではない、免疫をつけろといいたいのだといいます。

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