大塚英志さんの『物語消滅論 キャラクター化する「私」、イデオロギー化する「物語」』を読みました。
はじめに、物語というものがいかに工学的に作れるかを証明しようとします。
そして、そのことに徹底的に自覚した上で、現在の説話的な政治のメッセージを批判する眼を持てといいます。
文学が機能していないから、安易な説話的なメッセージに引っかかる。
それが、イラク戦争であり、佐世保の小学生殺害事件だといいます。
その意味で、今まで著者は論壇には批判的だったのが、現在は近代文学を支持するとしています。
大塚さんの一貫した近代擁護は理解できます。これは、単なる日和見などではないと思います。
しかし、物語を一旦徹底的に工学化した後、文学を擁護するというのは面白いと思いました。
現代の文学者はこのような視点は欠けているのかなと思いました。
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