朝日カルチャーセンターの講座の課題でベン・アフレック監督のアカデミー作品賞受賞作品「アルゴ」をDVDで見ました。
イラン革命の中で人質から逃れ、カナダ大使公邸にかくまわれた6人の外交官を、救い出すというスリリングな作品です。
登場人物もファッションや小道具も70年代風に描かれていて、リアリティがありました。
アメリカ映画は、日本映画やヨーロッパ映画と違って、一つのテーマを決めたらそれに徹して見る人をどんどん引き込んでいきます。
日本映画やヨーロッパ映画は何がテーマなのか曖昧なものもあるような気がします。
この映画では、革命後のイランで身分を偽って飛行機に搭乗するまでをスリリングに描きます。
僕のようなものでも、外国で飛行機に乗るまでチェックされると緊張しますが、その緊張が極限にまでいたったのがこの映画です。
これらは、事実をもとに描かれているので、さらにリアルに感じてしまいます。
とてもハラハラ、ドキドキして面白かったです。
ただ、アメリカ映画の特徴として一つのテーマに絞ったら他を見ないということがあります。
この映画は、人質脱出というワンテーマに絞ってあるので、安心して楽しめますが、疑問も残ります。
この映画では、外交官の命がとても尊重されていますが、その前に前国王に拷問されたり、殺されたイラン人の命はどうでもいいのでしょうか。
カーター政権の成功物語として描かれていますが、救出作戦の失敗には全く触れられていません。
また、カーターがレーガンに敗れてからレーガンの手練手管によって他の人質が解放されたのに、カーターの理想主義が正しかったのかの検証もされていません。
これは、本当にアメリカ映画によくある特徴ですが、ワンテーマに絞っているからこそ、勧善懲悪に安心して身を委ねていられるのですが、別の視点から見ると、他の問題点もたくさんあることに気付かされます。そのことを見ないようにさせてしまう面もアメリカ映画にはある思います。
見るものを引きつける、真に迫る演出はとても魅力的ですが、一面的という批判も可能でしょう。
良くも悪しくも、アメリカ映画らしいアメリカ映画でした。
2013年8月30日金曜日
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