2011年4月18日月曜日

戦闘美少女

この前、斎藤環さんがニコ生に出ておられたので、以前買って読み終わっていなかった『戦闘美少女の精神分析』を読みました。

日本に特有の、アニメに出てくる「戦闘美少女」、その出自を求める本です。

最終的には難しいラカンの精神分析用語によって、反転したヒステリーがファリック・ガール、ファルスを持つ少女だとされますが、難しいので僕には正しいかどうかの判断がつきません。

そのまえに興味を引いたのは、ヘンリー・ダーガーという画家の物語です。
1892年にアメリカで生まれたダーガーは、自分の個室で60年にもわたって自分だけのためにひとつの物語と挿絵を描き続けます。
それは、ペニスをつけた少女たちが、子供奴隷をまもるために大人たちと戦争をするというものです。

中には子供が無惨に殺される場面などが描かれています。

彼の死の直前に偶然発見されて世に出ました。

斎藤氏は、彼は精神病ではなくひきこもりであったと診断します。その結果、子供のころには多くの人が持っていて、経年とともになくなっていく「直観像資質」というものが温存されたのではないかといいます。
直観像資質とは、明確な視覚イメージを持ち、それを自由に加工できる能力だそうです。

つまり、彼の無意識のイメージを直に見ている感じです。
僕は、ここに大人になることと子供でいることとの葛藤があったのではないかという気がします。

『ヨハネの黙示録』などもこのような「直観像資質」によって書かれたのかなとも思いました。

思春期の心性と視覚メディアがであったことでできた空間。それは、ダーガーと現在のオタクとに共通するとして、最後にハッキリと自分はオタク的な生の形式を全肯定するといわれます。
なにか、僕自身はオタクではないのですがありがたい感じがしました。

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