細田守監督、アニメ映画「おおかみこどもの雨と雪」を見てきました。
東京のある女子大生の出会った男の人が狼男で、彼女は彼の子どもを二人もうけて彼は死んでしまいます。
そして田舎にいって、二人のおおかみこどもを育てる物語です。
姉の名は「雪」。弟の名は「雨」です。
最初この映画の宣伝を見たときに、なぜ今狼男なのだろうか、と疑問に思いました。SFでも学園ものでもなく。
今でも、どこからこの着想を得たのか不思議な感じがします。
でも、評判なので結構期待していきました。
やはり、絵のきめ細やかさ、演出の細かさや、リアリティには卓越したものがありますが、あまりに演出過剰なところはちょっと鼻につくところもあります。
子どものころの無邪気さから、小学校高学年のちょっと大人びた感じをよく描き分けています。
基本的には、「子育て映画」です。なぜ今子育て映画なのかもなぞでしたが、どんどん引き込まれていきます。
この映画の特徴は、母親の花がひたすらいい子で、子どもたちのために懸命に生きていきます。普通なら、優しい一方で厳しさを出しそうなものですが、この映画ではひたすら花の母性が強調されます。
どんな時でも笑っていられる子になって欲しいという親の願いでつけた「花」という名。その名の通り、いつも笑って困難に立ち向かう姿に感動してしまいます。
僕自身は子どもはいませんが、姉が子どもを産むとき実家で産んでその子育てを見ていたことがあります。男の子と女の子。
それから、大型犬を仔犬のときから死ぬまで飼っていたこともあります。
その経験から、人間の子育ても動物の子育ても似ているところがあるという感じを持っています。
子どものころはやんちゃで、なんでもこわして、かけまわって疲れて寝てしまう。そんな子育ての中で子どもを見ると、一種野獣のようにも見えてしまうことがあります。
この映画の中の狼というのは、子どもの中の野獣性みたいなものの比喩なのかなとも思いました。
そして、この映画には母性だけがでてきて、父性は農家のおじいさんぐらいしかでてこないです。それは、この映画が、現代のシングルマザーの一つのモデルとしても機能しているためなのかなとも思いました。
狼として生きる道も、人間として生きる道もどちらも一つの「親離れ」の儀式として描かれています。
そう考えてみると、これは現代性もあるテーマなのかもしれません。
意外な着想の映画がでてきて、見終わったあと心温まって感動し、すこし切ない思いでした。
得をした気分です。
0 件のコメント:
コメントを投稿