
新海誠監督のアニメ『ほしのこえ』のDVDを見ました。
「セカイ系」という言葉は本で知ったのですが、その代表作として有名なこのアニメを見てみようと思ったので見ました。
「セカイ系」とは批評家の東浩紀氏によれば、「自分の物語」と世界の終わりのような「大きな物語」が、「社会」という媒介なしに直結される一連の作品群をいう、ということらしいです。
そして、そこには人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の影響が強く認められます。
この話は、近未来の高校生の物語です。
彼の好きな女の子が、国連の宇宙ロボットに乗って敵と戦う。その中でメールを何年もかけて伝えるという話です。最後に彼女は「ここにいるよ」といって終わります。
20分ほどの短いアニメですが、監督がほとんど一人で作ったそうです。
ここでは今の若い世代のなつかしいもの、「学校」や「コンビニ」や「電車」が細かく繊細に描かれています。若い世代にとっては、古い「村」や「自然」ではなく「コンビニ」こそがノスタルジーの源泉なのだということを確信犯的に主張しているようです。
それが、宇宙で戦うロボットのメカニカルなSF的かっこよさと対比をなして、相乗効果をあげます。
もちろん『エヴァ』の影響を強く受けているのですが、『エヴァ』の先行作品である『トップをねらえ!』の方によく似ていると思いました。
この、「自分の世界」と「世界の終わり」の直結というのは『エヴァ』をリアルタイムで見ていた僕も魅力的に感じます。
その芸の細かさで描かれた世界を、「戦争」も「全共闘」も知らない世代がノスタルジーとして語るというのは一部の批判もあるかもしれませんが、「戦争」や「学生運動」にノスタルジーを感じるのが許されるのならば、これも許されるべきでしょう。
僕は、今の時代にはノスタルジーを語るに足るものがあるのか、みんなその繊細さを覚えているのかという疑問を感じることがあるのですが、この作品を見ると今の時代の殺伐としたように思われる風景にも繊細なノスタルジーが宿る余地があるのだとわかり、すこし安心させられます。
しかし、それを強調するには、やはり巨大なロボットとの対比が必要なのかなと思いました。
ただ問題は、庵野さんが命がけで作った『エヴァ』を模倣している。だからこれは新海さんだけの業績ではないということと、その後のアニメが、先日見た『サマーウォーズ』も含め、同じパターンが出来上がってしまって、どれもこれも似たものになってしまっているということです。
この作品だけを見ればしんみりと感動するのですが、「セカイ系」というパターンに全部はまってしまうということはあまりいいことではないと思います。
他の作家も、この作品や『エヴァ』を真似するだけではなく、独自の工夫がほしいところです。
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