宮台真司著『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』を読みました。
著者の過去の講演などをまとめたものです。
現在のグローバル化の進展する中、先進国では、新興国との賃金の切り下げ競争になって中間層が分解していきます。
すると、格差化貧困化の中で鬱屈した人々が、承認や溜飲を求めて反民主主義的な行動にでて、健全な民主主義が機能しなくなります。
この様な中で、正しい民主主義を機能させる為にはどうしたらいいか。
著者は、日本全体でどうにかできる処方箋はない、身近なところから、できることからやっていくしかないといいます。
そのための重要な手談が、ワークショップをくり返した上での住民投票だといいます。
従来からの著者の主張が細かく書かれています。ネットやラジオで著者の発言を追っていっている身からすると、いつもいっていることの繰り返しなので、すんなり頭に入りました。
ここまで理路整然と社会科学の知をふまえて主張されると、そうだろうとしか思えません。
ただ、さらに昔からの熱心な読者である僕は、過去に著者の「共同体の復活はありえない」「人にではなくシステムに負荷を与えるようにしなければならない」という言説に納得して、賛同した記憶があります。
それが現在、「共同体自治が重要だ」「システムの全域化が問題だ」といわれると、どうしても過去のことを思いだしてしまいます。
宮台信奉者であるが故に、過去の宮台さんの言説が撤回された経緯を重く受け止めてしまうのです。
そうすると、現在の主張も、理屈では納得できても、「宮台さんだってあやまることがあるのだから」、絶対視はしない方がいい。どこかで留保して見ていた方がいいという気にもなってしまいます。
この本を読む人には、まず著者のいうことを正確に理解してほしいと思います。
その上で、絶対視せずに留保しながら、賛成できることから協力していってほしいと思います。
2014年3月7日金曜日
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