2011年11月30日水曜日

秒速

新海誠監督の「秒速5センチメートル」をネットで見ました。

「秒速5センチメートル」とは桜の花びらが落ちるスピード。はじめ桜の花びらが散るシーンから始まります。

中学生の男女の恋。東京から栃木までいくシーンを丹念に描いています。
それから、第二話は、種子島の高校生の女の子の片想いの物語。
これらを精密な描写で感傷的に描いていきます。

前作の「ほしのこえ」「雲のむこう、約束の場所」は日本の日常の描写とSF的な設定が絶妙のコントラストで描かれていました。面白いのだけれど今ひとつ浸りきることができない面もありましたが、今回はSF的要素がないので、純粋に物語に浸ることができました。

最後の第三話で、僕は気付いてなかったのですが、実は全部つながっているストーリーだということがわかります。

思春期の感傷的な世界から、大人になってそれらを振り返る切ない気持ちが伝わってきて、こちらもセンチメンタルな気持ちになって、とても感動しました。

2011年11月29日火曜日

新海誠監督の「雲のむこう、約束の場所」をネット動画で見ました。

きわめて細かくリアルな背景描写で、日本の日常とSF的な世界を同時に描いています。

どちらもリアルなので、対照的で強い印象が残ります。

田舎の学校の世界でのささやかな恋愛模様が、世界大の戦争と直接つながります。
物語の展開も、スリリングで引き込まれます。

ただ、宮崎駿さんの作品と比べると、どこかクールで計算された感じがして、今ひとつノスタルジーに浸りきれません。

しかし、とても面白かったです。

2011年11月28日月曜日

社会科学

猪口孝『社会科学入門 知的武装のすすめ』を読みました。
社会科学全般について、大まかな知識を得ることが出来ます。

基本的な方法論なので、これを読んでいかに勉強するかでしょう。

2011年11月26日土曜日

科学

今日カルチャーセンターで「《対談》汎科学論-「3.11」後の知-」講師、評論家の柄谷行人先生。朝日新聞編集委員の尾関章先生。にいってきました。

原子力の問題を科学と思想の問題として扱うのかと思いましたが、柄谷先生の現在の思想を語るようなかたちになっていました。

デモに参加されたわけですが、デモは古い、現在はITがあるじゃないかというが、外国では今でもデモをやっている。
モンテスキューによると代議制は寡頭制であるという。だから直接的なものも必要、デモはその一つにすぎない。

柄谷先生は、温暖化とうい問題設定に反対していて、もっと深い問題だといいます。

柄谷先生は、カントの倫理を掲げているが、カントの倫理とは、因果関係を括弧に入れること。
カントのアンチノミーでは、人間に自由があるかと問う。
自由がなければ責任は伴わない。自分に自由であれという命令があってはじめて責任が生じる。
括弧に入れることと、外すことが大事。

などなど柄谷先生が関心のあることを並べて述べられていて、あまり秩序だった対談ではありませんでしたが、結局資本主義からアソシエーションへという道筋を描いていらっしゃって、いずれ資本主義は限界がきて終わるといわれました。

オーソドックスな左翼思想でしたが、現在でも左翼思想を真っ正面から擁護するのは時代に合ってないという見方もあるでしょう。また、ここまで貫いてきたのはある意味偉いという見方もできるかもしれません。

2011年11月25日金曜日

2011年11月15日火曜日

Mac


Macの調子がおかしいのでサポートサービスに電話して直しました。

2011年11月12日土曜日

社会思想


今日はカルチャーセンター「社会思想ゼミ 市民社会の批判的・歴史的検討」宮台真司先生、堀内進之介先生。に行ってきました。

まず堀内先生が、市民社会といつもいわれるが実現するのかと疑問を提示します。

宮台先生。べき論で変わるとは思っていない。システムを変えることが重要だ。
基本的に「いいことをすると儲かる仕組み」が必要だ。

堀内先生。外国に行くと本当に競争社会でしんどいと思う。しかし、日本は空気に縛られる。両義的だがどちらかを選べといわれれば欧米型を選ぶ。

その後、現在の日本のダメさ加減をいいつのります。

宮台先生。TPP。リカードの比較優位説を持ち出す経済学者がいるが、それは平時のときで失業者がゼロのときのはなし。TPPを実行すればアメリカから安い農産物が大量に入ってきて、価格の下方圧力がが起こる。しかし将来不安があるので消費にはまわらずデフレになる。すると購買力平価説にしたがって円高になり、5%の関税なんか吹っ飛んでしまう。

また日本でソーシャルビジネスをはじめると「金に目がくらんだのか」といわれてしまう。

堀内先生。官庁が公募を出す。はじめから決まった企業にヒアリングをさせる。そして10日ぐらいで閉め切ってしまう。事実上他の企業は手を出せない。
自分は妻がアメリカ人なので子どもには英語教育しかさせていない。日本はダメになるだろうから逃げる準備はできている。

と、いろいろ日本のダメさ加減を語って、結局エリートが自立してダメな民衆を導いていくしかないという結論になりました。

宮台先生の意見は複数のメディアでいつも聞いているので、一貫しています。だから、すでに聞いたはなしも多かったです。
これだけ理路整然と説明されると、反論の余地もなさそうで納得してしまいますが、僕の意見をいわせてもらうと「確かに日本はダメだが、全部が全部ダメなんだろうか」というものです。
決して現状を肯定しようとは思いませんが、僕のような人間でも何とか最低限の文化的生活を送れているし。アメリカにも欧州にも新興国にも途上国にもそれぞれ、日本にはない大きな欠点があるのではないか。ダメなところの全くない(そんなことはいってませんでしたが)国も時代もないのではないか。
もちろん価値観によってどこがよくどこが悪いというのは違いますが、日本にも良い点もあって、変革はそれを失う面もあると思います。

両先生方もそれは否定してないと思いますが、良い点も意識して議論をしてもいいのではないでしょうか。

2011年11月11日金曜日

チェス


小川洋子『猫を抱いて像と泳ぐ』を読みました。

知らないおじさんに、チェスを教えてもらって、チェスを指す人形の中で活躍する少年の話です。

本屋大賞で『ヘヴン』より上にいっていたので読みました。

こんな世知辛い世の中で、こんなにピュアなストーリーを書ける人がいるのかと思うと、少し生きる勇気が沸いてきます。

2011年11月8日火曜日

サウダーヂ


映画『サウダーヂ』を観てきました。

舞台は山梨県甲府。
そこで土方をやっている人と、そこにやってきたラッパーの物語を丁寧に描いています。
フラジル人、タイ人等との関わりの中で物語は進行していきます。
リアルに芸の細かい描写で個性的な人物を描いていきます。

丁寧に描かれていて、地方都市のシャッター商店街の風景や外国人との葛藤など現在的な日本の殺伐とした一面を突きつけられて、考えさせられる映画です。

日本はもう本当に豊かな国ではなくなって、貧困というのがリアルにある国になったのだなと思わせます。
また、日本は日本人だけのものではなく、国際化は否が応でも押し寄せてきているのだということも思い知らされます。

マルチに展開するストーリーなので、ストーリーというよりもそこに描き出されている日本社会の描かれ方が強く印象に残ります。

結構しんどい映画なので、人によってはあまり快いとは感じないかもしれませんが、現代日本に対しての批評的視点は重要だと思いました。

2011年11月2日水曜日

まどか


ユリイカ11月臨時増刊号『総力特集†魔法少女まどか☆マギカ-魔法少女に花束を』を読みました。

アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」の感想は10月20日のブログに書きましたが、その作品の特集雑誌です。

脚本の虚淵玄(うろぶちげん)さんのインタビューなど載っていて、作品が作られた経緯もわかって、なかなか面白い本でした。

この本には出てこなかったのですが、かつて話題を集めたアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」と比べてしまいます。

共通点もあって、近未来の中学2年生の学園ものから、戦闘ものに変わる。とか、最後のまどかが地球を抱きしめるシーンなどは、「エヴァ」の旧劇場版のラストをも彷彿とさせます。

僕自身はどちらも好きなのですが、「エヴァ」の方が当時の自分の精神状態でシンクロしまくって、自分の苦しみを描いてくれているというような感覚になったので、「エヴァ」の方が強い印象が残っているかな。

この本ではありませんが、社会学者の宮台真司さんは、「エヴァ」は承認を求めて右往左往しているが「まどか」は承認する側にたっている分だけすすんでいると評価します。
また、批評家の東浩紀さんは、「まどか」は美少女ゲームの中で出てきたものを超えていない、しかし「エヴァ」は古いものを壊しているとして「エヴァ」を擁護します。
どちらも興味深い分析です。

2011年11月1日火曜日

プラトン


藤沢令夫『プラトンの哲学』を読みました。

ある程度の知識のある人には、非常に読みやすくプラトン哲学の骨子がわかります。

アリストテレスと比べてプラトンは現在否定的に捉えられがちですが、どちらもそれぞれのよさがあると思いました。
そんなことを感じさせる本でした。