2013年1月14日月曜日

Mr.Children


『別冊カドカワ総力特集 Mr.Children』
『音楽誌が書かないJポップ批評40 Mr.Children「幸福の探し方」 (別冊宝島)』
『Mr.Children Everything―天才・桜井和寿 終りなき音の冒険』

の3冊を読みました。

『別冊カドカワ〜』は、アルバム「HOME」のできるまでをまとめた本。
『〜別冊宝島』は、アルバム「I♥U」までのバンドの軌跡。
『Everything〜』は、桜井和寿の音楽の魅力を理論的に分析した本で、音楽の知識のない僕には内容は理解できませんでした。


Mr.Childrenのファンになったのは「名もなき詩」を聴いてからで、それまではオシャレすぎて、僕のようなダサい人間には触れがたい世界という感じでした。

ところが、「名もなき詩」では、はじめ「ちょっとぐらいの汚れ物ならば、残さずに全部食べてやる」ときた。
僕のような汚れた人間でも受け入れてくれるのか?ほんまかいな?と思ったら、「君が僕を疑ってるなら、この喉を切ってくれてやる」ときて、ああ信用できるんだと思いました。
そして、「あるがままの心で、生きられぬ弱さを誰かのせいにして過ごしてる。知らぬ間に築いてた、自分らしさの檻の中でもがいてるなら。僕だってそうなんだ。」というのが、あまりにも自分に当てはまって、それからこの曲の他の部分も、当時悩んでいた自分にぴったりしすぎて、泣いてしまいました。

この感動を、どう表現しようかと思い、僕はこの曲を英語に訳してみようと思いました。

訳すということは、桜井さんの歌詞を生かしていることになるし、同時に僕がその内容を理解している証拠にもなると思ったからです。

その訳は、あるアメリカ人詩人に渡してしまって、今はどうなっているか分りません。

それから、ミスチルというか桜井さんの混迷期のアルバム「深海」と「BOLERO」を買って、車を運転しながら聴いていました。

自分の苦しみの中、これらの曲を聴くことは、「答え」にはならなくてもショーペンハウアーのいう「共苦」になりました。

「深海」はアルバム全てが、僕の悩みの世界を形成しているようでした。「BOLERO」は、中の曲に共鳴しました。

特に、「ALIVE」という曲の「夢はなくとも、希望はなくとも、目の前の遥かな道を」というところは励みになりました。

お正月に「エヴァンゲリオン」のTV版を全話放送をしたお陰で、今自分の中で「エヴァ」の世界に深く入り込んでいますが、「エヴァンゲリオン」とMr.Childrenの共通点というのも当時から感じていました。

ちょうど「深海」「BOLERO」が「エヴェ」TV版と近い時期だったと思いますが、どちらも「チルドレン」という言葉がキーワードになっている。

ミスチルは名前が「Children」だからにとどまらず、歌っている内容が「子どもの世界」「無垢な世界」です。

そして、そんな「無垢な世界」をただでは生きられなくなったのがちょうど90年代半ばではないでしょうか。

「子どもたち」の「無垢な世界」を生きていた。けれど、それが難しくなってきた厳しい状況。それを、敏感に感じたのが桜井和寿であり、庵野秀明であったのではないかと思います。

かつての、共同体が壊れ弱い個人がむきだしにならざるを得ない世界。

ちなみに、そこで、その弱い個人を人工的に助けようという計画が「人類補完計画」というアイディアではないでしょうか。
しかし、その計画は人為的に個人を補完するという傲慢さがあるようにも思います。


80年代的「オシャレ」な世界、「オタク」の世界、それからバブルが崩壊してグローバル化が進んで、今までの共同体が崩壊した90年代的世界への変化は、個人に例えるとちょうど子どもから大人へ向かう思春期、14歳頃ということになるのではないでしょうか。

心理学者のC.G.ユングは、青年期に人は一度「死」をむかえるといいました。
「エヴァ旧劇場版」の最初のタイトルが「DEATH AND REBIRTH」で、最終盤のイメージは明らかに「死」のイメージです。

「深海」の中の「花-memento mori-」という曲のタイトルの意味は「死を思え」です。

直接に両者に影響関係はないのではないかと思いますが、ちょうど90年代後半という、共同体崩壊の時代に、「無垢な世界」を生きていた人達が感じた厳しさを、両者ともに表現しているように思います。
だから、僕は両者にこれほどのめり込んだのだと思います。

そして、両者とも現在に至るまで僕らにメッセージを発し続けています。

ちなみに、僕のMr.Childrenベスト3は

1.「Tomorrow never knows」

とにかくメッセージとともに「カッコいい」。

2.「名もなき詩」

メッセージに強く共感。

3.「終わりなき旅」

苦しくても、未来に希望が持てる。

です。

今、You Tubeで「終わりなきの旅」のPVを見たら最後に、エヴァの「セカンドインパクト」にそっくりの場面がありました。意外に影響関係があるのかもしれません。

Mr.Childrenのプロデューサー小林武史氏が音楽を担当した「スワロウテイル」の監督の岩井俊二さんは、庵野秀明監督の実写作品に俳優として出演している、という遠い関係はありますが。

とにかく、僕にとってMr.Childrenは、J.レノンやB.ディランとともに非常にデリケートな部分です。

エヴァの感想まとめ

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