2013年8月1日木曜日

『ヴァレリー』

アニメーション映画『風立ちぬ』の冒頭には、堀辰雄が、小説『風立ちぬ』の中においた、ポール・ヴァレリーの詩集『海辺の墓地』の一節、“Le vent se lève, il faut tenter de vivre”、と堀の訳「風立ちぬ、いざ生きめやも」があらわれます。

ヴァレリーの詩が堀にインスピレーションを与え、堀の小説が監督、宮崎駿にインスピレーションを与えたという連鎖があります。

その大元のヴァレリーとはどういう人なのか。今まで全く知らなかったので、入門書を読みました。

清水徹著『ヴァレリー-知性と感性の相克』を読みました。

ヴァレリーという人は、ランボーなどと比べると地味な生涯を送った人という感じでした。

真面目で、ちょっと小心のようにも感じました。

結婚していながら、生涯に4度も熱烈な恋愛を経験するというのは、いかにもフランス人らしいですが、しばらくするとふられてしまうことが多かったようです。

本人は非常に繊細で傷つきやすく、その内面の細かな動きを言葉にすることに秀でた才能を持っていたようです。だから、詩も評論も繊細で優れたものになったのだと思います。

一方で、どこか暗く悲観的にならない楽観性のようなものも感じます。
それは、おそらくイタリア系の両親がいて、南仏の明るい太陽の下で育ったことと関係があるのではないかと思います。

入門書で、その人となりを知ることができたので、その作品にも触れてみたいと思いました。

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