2012年1月28日土曜日

グーテンベルク

M.マクルーハン『グーテンベルクの銀河系 活字人間の形成』を読みました。

グーテンベルクの発明した「活版印刷」によって何が変わったのかを、たくさんの引用から解きほぐした本です。断片的に書かれていてまさに銀河系といったかたちです。

「活版印刷」によって変わったのは、以前までは五感を使っていた人間が視覚という機能を異常に拡大させたことだ、といいます。

その結果、その他の機能は無意識に押し込まれたといいます。

はじめは、グーテンベルクの発明で人類がいかに進歩したのか楽観的に描いているようにみえましたが、後半になってくると、その悲劇性が強調されていきます。

マクルーハンが「活版印刷」以前の古い宗教であるカトリックに改宗したというのも、なるほどと思わせます。

「活版印刷」によってわれわれは活字があたりまえだと思っていますが、グーテンベルク以前にはなかった。その時代の方が人間の五感の均衡はとれていた。そう思うと活字以前の社会にあこがれもでてきます。

メディア論の嚆矢であるマクルーハンを読んで、わくわくする感じを持ちました。

0 件のコメント:

コメントを投稿