2012年8月5日日曜日

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.」をDVDで見ました。

90年代に話題になったTVロボットアニメの新しい劇場版の2作目です。

前作「序」はTV版に近く、総集編的であまり新たな感動を感じなかったです。僕の好きなキャラクターのアスカも出ていなくて。

今回は、アスカも出てストーリーもTV版とかなり変わって、かなり深刻な物語になってきています。

90年代後半、TV版は最終2話は主人公の心理描写で終わりました。いいたいことはわかるけれど、心理療法でいえば、認知療法的な結末でしたが、それだけでは収まりがつかない。見る方も、つくる方も。そこで「旧劇場版」ができました。僕はアスカが好きだったのですが、綾波レイの方が人気も重要性もあるのでアスカが軽んじられることを恐れて見にいきました。すると、アスカが重要な役割を果たしていて、庵野秀明監督にわかってもらえたという感じを持ちました。

テーマとしては基本的に「如何にして大人になるか」という問題です。

80年代は、消費文化の中、方や新人類と呼ばれる人たちが差異化のゲームに強迫的におどらされて、方やゲームからはじめから降りた人達がおたくとして引きこもった時代。
そして冷戦の終焉、市場開放な現在のグローバリゼーションの渦の中に日本も巻き込まれた時代。
90年代中盤には、進んだ子たちは援助交際にはしり、引きこもった子たちは宗教テロをおこした。

マッカーサーに12歳といわれた日本人は、今14歳になり子どもから大人へのうちなるイニシエーションが必要な時代なのかなと当時思いました。

そんな時代の旧劇場版は、僕は作者の気持ちが手に取るようにわかった。おたくのコアな世界に住んでいて、それ故におたくの限界にいち早く気付いておたくを内破しようとする意志。

「アスカじゃなきゃダメなんだ」
「イヤ」
アスカの首を絞める。

この心象風景は、当時もういい歳をした僕ですが、自分の中のものでした。ただ、自分なら首は絞めないとは思いましたが。

エヴァの魅力には、普通の学園生活と人類の生死を分つ戦いが並列して描かれている面白さがあります。
新劇場版では、時間がないのでしょうがないですが、学園生活の明るい部分とかアスカの心の屈折や痛みがあまり描かれていなかったのは、少しさびしい気がしました。


アスカがちょっと表情も暗く描かれていて、名字も変わっていて、少し残念でした。
アスカの乗ったエヴァが倒されて、カプセルみたいなやつも壊されるところは、アスカは本当に死んじゃうの?!とショックを受けました。

ストーリー的に劇場版内に終わらせる必要があるのでしょうが、敵である「使途」が強すぎて、何回エヴァが壊されるのかとハラハラしてしまいました。

最後に、綾波を助けるためにエヴァで頑張るシンジ。それが新しい生命体を生む、そして世界の3回目の破滅であるサードインパクトがはじまるというところは、どこかで見たことがあるなと思ったら、去年話題になったアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」のラストに似ていると思いました。
友だちのためを思って、魔法少女になるまどかは約束に過去の魔法少女を助けるために自分は「概念」になってしまう。それによって世界のルールは書き換えられる。感動的だけれど怖いラストですが、この新劇場版ヱヴァの影響もあるのではないかなと思いました。

90年代は暗い時代だけどその退廃的な雰囲気が好きでした。そして2000年代は逆に明るい時代になるのかと思ったけれども、もっと深刻な時代になったようにも思えます。

僕自身も、いい歳をしてまだ大人になることがテーマであり続けているようです。

この新劇場版は、心理描写よりも実際に敵がきたので戦わざるを得ないという感じで進んでいって、旧劇場版よりも心理描写に力がこめられていない感じもします。

旧作の時には、監督自身の病気な部分がストレートに出ていて、それが人々を引きつける魅力にもなっていたと思いますが、新劇場版は病気の部分をもっと洗練させて完璧な作品を作り直そうという意志を感じました。
その通り、画面の迫力、動きのかっこよさは過去のどんなアニメよりも上でしょう。そして、病的な部分も「序」よりも出ていたと思います。

それと、もう一つのこの作品のテーマは世界の終わりです。それが、子どもから大人になる主人公たちの内面とシンクロしているのですが。
今回は、早くも第二作でラストに世界の終わりが予兆されていて、見る方も深刻になります。この「世界を全て含んだ」内容で、作品自体が「全世界」を巻き込んでいる印象を与え、他の作品よりも大きな眼で見るようにさせます。

最後に予告編で、アスカの姿が一瞬映ったので嬉しかったです。

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