2011年10月11日火曜日

ゼロ年代


宇野常寛『ゼロ年代の想像力』を読みました。

宇野さんは、東浩紀さんと仲違いしたようで、僕は東さんに好感をもっているので自分は東派だと思っていましたが、この本を読んでいくとそう単純な対立ではないなと思いました。

東さんが『動物化するポストモダン』で示したデータベース的消費というのをふまえつつも、時代はもっと先に進んでいるというのです。

ゼロ年代には、根拠がないことは分った上で勝ったものがルールを支配する、動員ゲームが行われている。

宮台真司、東浩紀という「巨人」を向こうにまわして、自らの理論を展開します。
社会システム理論やフランス現代思想という難しい理論は使わずに、誰にでも通じる言葉で語られます。
先人たちを批判しますが、公平に見てその批判はフェアなものであるように思われます。

ゼロ年代の問題を「決断主義」と名付け、分析するのですが、この本が優れていると思うのは、ゼロ年代の特徴を徹底的に分析しながらも、その克服、来るべきポストゼロ年代の思想をも語っているところです。

『サブカルチャー神話解体』『動物化するポストモダン』に続く、現代の問題への分析はないのかと思っていたところ、この本を読んで納得させられることが多くありました。

東さんが柄谷行人さんを「村上春樹を評価しない」という理由で批判したのと同じく、東さんが新しい想像力を評価しないとして批判します。

趣味の違いの問題もあるかもしれませんが、それほどおかしいことを言ってるわけではないと思います。

本編は非常にロジカルに公平に書かれていて、的を射ていると思いましたが、インタビューはすこし混乱して分りにくかったです。僕の理解力が足りなかったせいかもしれませんが。

単純な党派性を超えて価値のある本だと思いました。

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