2017年12月9日土曜日

「ハーバーマスから考える政治」

今日は、18時30分から朝日カルチャーセンター新宿校で、宮台真司先生、堀内進之介先生の「ハーバーマスから考える政治」という講座にいってきました。

まず堀内先生から、ハーバーマスの略歴の紹介がありました。

ハーバーマスは現存している思想家の中でも、最も影響力のある人物の一人です。

90歳になった現在もドイツ語で、色々な媒体に寄稿しています。

ナチ政権下に少年期を過ごし、戦後マルクスの影響などを受けて批判理論を確立します。

主な業績は、資本主義を前期資本主義と後期資本主義に分けて分析したことなどです。

その後は、ハーバーマスから少し離れて、宮台先生の現在の社会分析へと向かいます。

アメリカには元々、リバタリアニズムの伝統がありましたが、タウンの分断により国家が再配分する、リベラリズムに変わっていかざるを得ませんでした。
ロールズは、社会的立場の入れ替え可能性をリベラリズムの要件にしました。
ローティも、初期は、残酷さの回避を我々が共通に了解できる条件としました。

しかし、その後ローティは、ロールズ流のリベラリズムは、ある条件を満たした人々だけを対象とした排除が含まれていることに気付きます。

そして、感情教育の実践の方が有効だと説きます。

しかし、そこには危険も潜んでいます。ウェーバーも気付いていたことですが、社会はなんらかの道徳的連帯がなければ回りません。しかし、それは下手をすると全体主義へと繋がってしまいます。

ナチスを回避しながら、聖なるものを語るのはどうするべきか。簡単に答えはないと宮台先生はいいます。

逆に損得勘定に徹するという手はないのか、と堀内先生は問います。

同時代だったニーチェとキェルケゴール。神の死に直面した二人は対照的な態度を取ります。キェルケゴールは、神との1体1の対面を説くのに対し、ニーチェは超越的なものにすがるのを諦めることを推奨します。

ニーチェの影響を受けたフーコーも残酷さを回避するより、むしろ残酷さに直面して真理を直視しろといいます。

宮台先生は、元々古代ギリシア人はヤハウェ信仰をセム族的なものとして退けて、理不尽、不条理なもの引き受け真っ直ぐ進むことを推奨したといいます。

そういう意味では、ニーチェの影響を受けたウェーバーも同じだといいます。

それは、単に聖なるものを退けるのではなく、畏怖する心を育てることだといいます。

その為に、嘗ては性愛のワークショップ、現在では子育てのワークショップをやっているそうです。

子育てでも、宮台先生はわざと法を破って法外の理不尽や不条理を教えています。

「愛と正しさの為に、法を破れ」といいます。

堀内先生は、「愛」から「正しさ」への飛躍はないのかをといます。

進化生物学によると、「正しさ」とは仲間の為の自己犠牲だそうです。
全く知らない人の為に自己犠牲を厭わないのが、「隣人愛」です。

そこには、ジャンプがある。そして、そのお陰でキリスト教文化圏では、大規模定住社会が営まれました。

また、ネグリ、ハートのマルティチュードの概念のように、色々な属性に属しているから、意外な人が仲間でもありうるともいいます。

ハーバーマスから始まって、最後は宮台先生の子育て論になっていった感じです。

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