2011年12月26日月曜日

愚民社会

宮台真司、大塚英志著『愚民社会』を読みました。

これは、大衆を嗤う本ではないです。
お二方とも日本人がいかに「近代人」になれるかをテーマにしつつ、それに絶望している書です。
宮台氏は、「引き受ける社会へ」とスローガンを掲げますが、べき論では変わらないという認識をもっています。ですから、世田谷区で実績を積んでいこうという戦略のようです。

大塚氏は、近代人になるために、学生に憲法前文を書かせたりして、カリキュラムによって人は変わるという可能性に賭けているようです。

宮台氏が震災前後に日本社会は終わったといって、原発関係者などを採り上げ、日本の非近代性を浮き彫りにするのに対して、大塚氏は震災で高揚している人々に、今まで近代をサボタージュしていたのに今更なんだ、と冷や水を浴びせます。

宮台氏のあえていう「天皇」に対し、大塚氏はあえていう「憲法9条」。
一見対極的ですが、目指すものは日本人の「近代化」という点で重なるように見えました。

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