2009年6月20日土曜日

柄谷行人


今日は朝日カルチャーセンターで、評論家の柄谷行人さんの話を聞いた。3年ぶりぐらいで2度目。もう一人の評論家の人と対談だった。その評論家が柄谷さんに気を使って色々聞くが、柄谷さんが答えていくうちにどんどん細かい方にいってしまって、何の話かわからなくなることもあった。また、一つ話して終わると次の話題に移るので、話も断片的になってしまっていた。
私なりにまとめると、まずイェール大学でド・マンという人に会った。当時は誰も知らなかった。のちにド・マンが
ナチに肯定的態度をとったと批判されたが、柄谷さんいわく。戦争中はどこの国でも帝国主義を肯定するものだ、そうしないと殺されちゃうから。そのことを考慮に入れないで批判するのは不当だ。と。確かにそう思う。
それから、自分は日本文学を論じ、また社会思想を論じているが、これらは自分の中では全く別物だ。外国にいったら、日本のことは全て忘れ、日本に帰ってくると外国のことは全て忘れるといってたのが面白いと思った。
また、トルコに行ってきたという。トルコではヨーロッパかイスラムかで分裂してるが、それでいいんだという。日本も西洋と東洋で分裂してるからいいので、変に統合しようとすると危ないという。
また宗教の話になって、キリスト教でもイスラム教でも神秘主義というのが台頭してくる。彼らは神と直接つながっているので、時の権威から自由であり、それゆえ危険視され弾圧されるといってた。なるほど、と思った。
聞き役の人が、丸谷才一さんの文章を見せて、マルサスの人口論がダーウィンに影響を与えた、というようなことをいったら、柄谷さんは、丸谷は馬鹿だからと一蹴した。
まあ、柄谷さんから見れば普通の作家もバカに見えるかもしれないけど。そういわれたら、もう何も言えない。
ちょっと厳しいなと思った。しかし、自分の考えもしっかり持っているから、批判のための批判ではないだろうとは思うが。
柄谷行人さんの本は一般の人向けに書いた「倫理21」と「世界共和国へ」しか読んだことがない。本屋で手にとっても、私の頭では理解できない。ある書店員が柄谷さんの本を見て「この人なんて読むんだろう。よく見るけど」といってたのを聞いたことがある。日本を代表する批評家でも、一般人への影響はそんなものかと思った。
一般の人に影響を与えるかどうかは、どれだけテレビに出たかで決まってしまう。いくら、デリダの友達でも普通の人には影響力が弱いのは悲しい。
しかし、私は成蹊大学中途退学で、今は多摩美術大学大学院修士課程コミュニケーションデザイン専攻で、美大だからあまり本を読んだりしない。ゆえに、あまり学がないけどカルチャーセンターは何の入学試験もなく、テストもなく(そのかわり何の資格もないが)だれでも、日本を代表する知識人の話を聞けるのでつくづく有り難いと思っている。柄谷さんの影響を強く受けた哲学者、東浩紀さんと社会学者大澤真幸さんの講義も受けたかったが、時間が合わなくていけないのが残念。


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