2010年6月15日火曜日

国家




僕は、カルチャーセンターなどで、哲学の講義を聴いたりしていますが、いわゆる入門書レベルで本当の哲学書というのはほとんど読んだことがありませんでした。

「精神現象学」「純粋理性批判」「存在と時間」という哲学史に残る重要な本を講義のために買ったのですが正直一行も理解できませんでした。

しかし、少しは哲学の勉強をしてきたのに哲学書を読んだことがないので哲学の話ができないというのはもったいないと思い、できるところから哲学書を読んでみようと思いました。

哲学と言えば最初はギリシア。ギリシアと言えばソクラテス、プラトン。その代表作は「国家」だと思い「国家」を読みました。

あまり、難しい専門用語が出てこないので、込み入ってはいますが、僕のような素人でも読めます。

昔の話だから今の人とは全然違う発想なのかと思いましたが、読めば現代人でも納得できる筋道や感情が描かれています。

理想国家論では、妻や子供を共同で所有するといっていて、過激なのですが、人々が受け入れ難いということも承知の上で語られているので、全く感覚が違うわけではありません。

しかし、国家を語るのにこれだけ厳密に一つひとつ理論的に証明して見せて、イデアといわれる実相の話や、死後の世界の話まででてきて、すごい徹底的な議論をするものだなと思いました。

日本人ではここまで理論的につきつめることはしないのではないでしょうか。西洋の哲学の特徴がすでによく出ていると思いました。

内容的には、哲学者が政治を司るべきだというのは、ソクラテスも認めているとおり、不可能ではないが困難だと思いました。また、妻子の共有など、現在の価値観では認め難いものもあります。

しかし、政治形態で民主制から僭主性へと向かうという分析などは、フランス革命を予言しているようでもありさすがだと思いました。

イデア論や詩人追放論など、現在では否定されているものも多いのですが、でもこれだけ真剣に考え理論的に説明しきるところはやはり評価されるべきではないでしょうか。

最後に人間の死後の世界が出てきますが、そこまで考えて政治を語るのもすごいと思いました。
内容は、キリスト教とも仏教とも共通する感じがするので、興味深かったです。

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