2010年7月26日月曜日

情報


僕は大学院で新しいコンピュータのインターフェースを作ることをしています。

そこでコンピュータやネット関係の本も勉強のため読んでいます。

東浩紀コレクションの「情報環境論集」を読みました。

「情報自由論」と「サイバースペースはなぜそう呼ばれるのか」という二つの論文が入っています。

あとがきで著者は両方とも失敗作だといっていますが、僕にはどうしてもそうは思えませんでした。

いやらしい謙遜をするひとではないので、本当に失敗作だと思っているのは事実だろうと思います。
しかし、僕のような素人から見れば、極めて理路整然と、テーマに忠実に、多大な参考文献をあげて書かれているように見えます。

最初の論文は、著者がかねてから主張してきた「環境管理型権力」を独自の一貫した理論で説明していきます。
そして、最後のSFからの引用には感動しました。

次の論文は、僕らがなんとなく考えている「サイバーパンク」っぽいものがどのように発生したのかを、歴史的、哲学的、社会学的に見事に分析してみせて、今までもやもやしていたものがはっきりと輪郭を与えられたという印象でした。

申し訳ないのですが、著者が「一番気に入っている」という『動物化するポストモダン』よりも、理論が整理されていてこちらの方が優れているのではないかと思うほどです。

もちろん、思想的に考えると『動物化〜』は新しい視点を確立した、重要な作品だといえるのかもしれません。

しかし、この二つの論文のどこが「失敗」なのかは、僕には全くわかりません。見る人が見ればわかるのかもしれませんが、これで「失敗作」というのなら、世の中にある本の大半は失敗作以下でしょう。

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