2010年8月9日月曜日

アリエッティ


スタジオジブリの「借りぐらしのアリエッティ」を見てきました。

河合隼雄さんの本で「床下の小人たち」というのがあると紹介されていて、本のことは知っていました。
床下で小人たちが、人間のものを借りて暮らすってどういう意味かなと思っていました。

最後には、小人たちは借りぐらしできなくなるのですが、それにも深い意味がありそうだと思っていましたが、自分でははっきりその意味が分かりませんでした。

しかし、何か心に引っかかるものがありました。

今回の作品でも、具体的にどういう意味があるのかは述べられていません。
しかし、人々の心の中に何かを残すような作品です。

宮崎駿が監督した作品と比較しては、ものがたりは小さなもので、小作品という感じですが、映像はやはり芸が細かい、日本のアニメ的な意味で美しい作品になっています。

心臓を患った男の子が、小人アリエッティと出会って、彼女を助ける話になっています。しかし少年とアリエッティの出会いの話が中心になると、小人が床下にいることの意味がぼやけてしまうかとも思いました。

でも、意味をそのまま追求するよりも、ものがたりを丹念に描くことで無意識のうちに何か伝わるものがあるのかもしれません。
そういう意味では、これを単にストーリーとして分析してもあまり意味がないのかもしれません。
僕らおじさんはもう心が汚れてしまったかもしれませんが、まだみずみずしい感性の残っている子供たちは、この物語を見てうちの床下にも小人がいるかもしれないと思うかもしれません。それは現実ではなくても、床下に小人がいるかもしれないと思えるだけでも何か大切なものに触れることのできる時なのかもしれません。

明示的にテーマが現れていないだけに、単なる知識としてだけでなく、心の底に何かを残してくれる作品なのかな、と思ったりしています。

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