2010年5月15日土曜日

晩年


太宰治の『晩年』を読みました。
太宰は「自分を客観的に見る眼」と「自分の主観的な眼」との葛藤に苦しんだ人だと思いました。
繊細で病弱なイメージとは違って、非常に自信を持って自分の天才を知っている人だと思います。
しかし、「客観」が「主観」を常に否定し続ける。「客観」も「主観」も人一倍強い。で、あるが故に完璧を求め、また自己否定をせざるを得ない。

嘗て、『エヴァンゲリオン』のドキュメンタリーで、「エヴァ」が「太宰」に似ていると言った人がいましたが、庵野秀明もやはり「主観」と「客観」、両方が強い人だと思います。

また、以前「文学特殊研究」の授業で、僕の小説には「文体」がないと言われたことも分かるような気がしてきました。僕はストーリーを思い浮かべ文章にはほとんど気を使ってなかったのです。いろいろな小説を読むと、ストーリーよりも文章をどう書くかに作家の人はとても気を使ってることが分かります。
絵で喩えたら、筆のタッチというところでしょうか。
「文体」が重要だという先生の意見も納得できてきました。

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