2010年1月7日木曜日

財務大臣


菅財務大臣。

官僚経験がないだけに、どこまで細かい政策について見識があるか。
しかし、市民運動から財務大臣にまでのぼりつめたという事は、霞ヶ関の悪い部分にも全く染まっていないともいえる。

松下圭一のような日本の頭脳をブレーンにしているだけに、政策の大きな方向性は間違わないという安心感はある。ややもすると市民運動出身者は政策が具体性を欠く場合があるが、菅氏にそれはない。それは、彼の著作を読めばわかる。

しかし、理想が大きければ官僚との摩擦も予想される。しかし50年以上続いた、あるいは明治時代から続いた、官僚支配を打ち破るには、多少の摩擦はあって当然。

私は官僚支配は徹底的に打ち破るべきだと思うが、日本の官僚自体はかなり高く評価している。自民党時代は、政治家が利益誘導で行動していたので、その歯止めをかけなければという義務感で強い権限を維持しようとしていた面もある。つまり官僚が悪いというより、政治家が悪すぎて、官僚が優秀すぎたので官僚支配になったともいえる。もちろん天下りなど、私利私欲があったことも事実だが。

しかし私の感じたところ、小沢幹事長が「日本改造計画」を書いた時、官僚はかなり評価したように記憶している。「日本改造計画」は官僚支配の政治を打破し、政治家が政治をする本来の姿にもどすことを主張した本である。にもかかわらず官僚が評価したのは、官僚自身も自民党型の利益誘導、大臣も名誉職になって実質的なリーダーシップがない、こういう政治にうんざりしていたのではないだろうか。

それであれば、しっかりとしたリーダーシップをとる政治家がいてくれた方が、本来の事務に専念できるので、優秀な官僚であれば政治家が強いリーダーシップをとることは歓迎するのではないだろうか。すべての官僚がそうともいえないし、イデオロギー的に民主主義者の菅氏を警戒する人もいるだろうが。

菅氏の今までの政治家と比べての特徴的な点は、
◯リベラルだけれども一方では現実主義者でもある。
◯利益誘導型の政治をしていないので、無駄な支出は抑えようという財政規律に対する意識をはっきり持っている。
◯「仕分け」で本来ならマニフェスト関連の予算が捻出されるはずだったのに、たった7000億円しか出せなかったことを問題だったと、はっきり認識している。
◯今までの慣例に縛られていなく、将来の長期的ビジョンを考えようという姿勢がある。予算の全面見直しや、複数年予算を組むことも十分期待できる。
◯自分の理想をちゃんと、理論化しようという姿勢が見られる。ともすると、理想主義者は理論化がほとんどないまま理想を語ることが多い。

ただし、市民運動から財務大臣にまでなったのは「左」からは歓迎されるが、「右」の論壇からは相当警戒されることが予想される。感情的な反発も容易に思い浮かぶ。他の民主党代表経験者は「保守」の要素が少しはあった。しかし、菅氏にはその保守の血がいっさい流れていない。保守マスコミはかなり反発することが予想される。進歩的マスコミが褒めれば褒める程、目の敵にして欠点を必死に探すだろう。

しかし、これは小沢幹事長にもいえることだが、感情的にマスコミがバッシングしてきても、本当によい政治を行い、よい結果を出せば国民は支持する。するとマスコミは、国民の強い支持のある政治家を攻撃するのは控えがちになる。
もちろん金銭問題などはマスコミと関係なくちゃんと正直に表にして謝るべきところがあれば謝るべきだ。しかし、二流の政治家は、それだけでつぶれてしまうが、その後に本当に国民に評価される「実績」を残せば国民からの支持を挽回することは可能だと思う。

ただし、あまり一人で頑張りすぎると、前大臣のようにぶっ倒れてしまうかもしれない。まわりの人も菅氏がやろうということに賛成なら積極的に支えていって欲しい。また、菅氏ご自身も、心身ともに健康の管理を常に考え一人で突っ走らず、仲間と「連帯」して行動して欲しい。理想が高くても、健康を壊してしまっては何の意味もなくなってしまうので。

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