2010年4月14日水曜日

公約


なぜ、鳩山政権の支持率がこれだけ低いのか?
何度も考えたいことです。

先ず、理念として「中央集権」「官僚統治」から「地方分権」「市民自治」に変わっていかざるをえないのは、知識人の共通認識であると言っていいと思います。

web上の討論番組から引用。

細川政権時の官房長官、さきがけの武村正義さんの言葉。民主党政権ができる前。


武村: 一日も早く政権を取りたいという思いで頑張っているのは事実でしょう。しかし、現実認識が少し甘いと思っています。財源問題だけでなく、政治主導で作ったマニフェストにも欠陥があるように見え、民主党の言う政治主導とは一体何なのかという思いです。
 私自身、政権交代に期待を持ち続けている一人ではありますが、国民の多くは終わりを迎えた自民党に代わるものとして、民主党に消極的な支持をしているのではないでしょうか。民主党にはあまり調子に乗ってはいけないと言いたいですね

司会: 細川さんと武村さんは個人的な信頼関係があったので、武村さんが官房長官になられました。そこで聞きたいのが、権力というものを手にすると何が変わっていくのかということです。

武村: 私の答えはいい加減ととられるかもしれませんが、権力を握ったとか、権力の重いポストに座ったとかいう実感はほとんどありません。ひょっとすると細川さんもそう思っていたかもしれません。日々詰まっているスケジュールに対応をするのに精一杯でした。
 経験したことのない新しい世界に入るので、そのポストの役目をこなすことにかまけてしまうのですね。これは新しく大臣になった人も同じでしょう。しかし、それで国民の暮らしに大きな責任を持っている大臣を務めているのですから、それもおかしな話ですけどね。

コメンテーター(首都大教授): 日本は国民が成熟していなかったので、天皇の官僚が政治を行うことになっていました。戦後は天皇の官僚はなくなりましたが、国民の未成熟は変わっていないので、国民が議会を操縦する代わりに官僚が議会を操縦する形になっています。これがいわゆる飯尾潤さんが言う議会内閣制ならざる官僚内閣制なわけです。これは明治以降、近代化をする上で最短コースをたどるために設計された合理的な仕組みです。しかし、当然ながら、高度成長でパイが大きくなるにつれて、政官財の鉄のトライアングルができあがっていきました。今はこの従来の成功モデルがうまく回らないことははっきりしています。一つは、財政的に国を大きくできないから。もう一つは、流動的で複雑な社会環境に集権的な決定では対応することができないからです。従って、官僚に任せる政治から自分たちが政治家を選ぶことで内閣を操縦する人を選ぶ政治に変えることが必要になったのです。この必要性に異論を唱える人はいないと思うのですが、この移行のプロセスで既得権益を引きはがされる人たちが出てきます。その最大の被害者は官僚なのです。なぜかと言うと、彼らは官僚内閣制の下で裁量行政を行っていますが、その裁量を手放さなくてはならないからです。また、官僚が掌握していた情報も市民に見せなければならなくなりす。その結果、官僚たちのサボタージュが起こり得るわけです。また、警察・検察が様々な民主党の致命的な情報を握ることで、民主党が彼らに頭が上がらない状況になることも予想されます。
 これは権力が動くときの官僚の習性的な行動です。官僚は政策や理念をめぐって対立するのではなく、基本的に予算と人事が行動の動機づけになります。つまり、民主党が政治主導を実行しようとすると、官僚のサボタージュやコントロールで政権がずたずたにされてしまう恐れがあるということです。

司会: とはいえ、民主党の政治主導に期待する向きもあります。武村さんは実際、政権の中をご存知の身として、政治主導にはどういうリスクがあると思われますか?

武村: 今までの自民党政権より政治の役割を強めるという意味なら、異議はありません。
 しかし、官を否定して政が官に全面的に指図するということは不可能です。あらゆる法律はまず事務的な検討を経なくてはなりません。各省にまたがる事務的な検討を政治がやってもいいですが、ものすごい時間がかかりまし、それ以前に政治家はその能力を持っていません。うまく回すためには官の専門家を活用しなくてはならないでしょう。

コメンテーター: 官僚はプロフェッショナルな集団です。それには誰もかないませんので、放っておけば大きな力を持ってしまいます。他の国では、その牽制の仕組みとして政権交代があるのです。私が民主党に申し上げるとすれば、日本の行政官僚は従来の人事の制度の中で、優秀で各省庁の内部をよく知っている人がたくさん辞めていることです。そういう方々をブレーンとして政権内部に取り込むべきでしょう。その際、彼らに期待されることは、官僚から様々な提案が上がってきたとき、もっともらしい理由はそれとして、官僚がその提案を出す本当の理由は何か、その本当の理由の背後にある利権はどうなっているのかを明らかにさせることです。やはり、官僚を敵にすることは損です。

武村: 官僚が政治にノータッチということはありえません。予算は政府が作りますし、法案も政府と議員が作ります。しかし、議員立法はなかなかできないので、大事な法案はほとんど政府が作っています。予算と法律という最も大事な政治のマターを行政官がやらなくてはないのです。

 4月以降の予算委員会で細川さんが毎日、自民党から個人的な過去のスキャンダルめいた話を根ほり葉ほり聞かれたことがあるでしょう。細川さんは憔悴しきっていました。当の本人にとっては辛い日々だったような気がします。鳩山さんが首相になった場合、過去の「故人」献金問題で突かれると、本人は辛くてしんどい状況になる可能性があると思いますね。

コメンテーター: 私は鳩山さんでも誰であっても、それは事前に覚悟して頂きたいでね。民主党が官僚に籠絡されないとわかったら、官僚は自民党と結託して色々なデータをぶつけてくるに決まっています。自民党もネタ元は官僚ですから。それは当たり前のことだと免疫を作って頂かないと困ります。

武村: マニフェストに関しても、私が懸念しているのは財源問題です。小沢さんの党首時代にぶちあげた暫定税率廃止や戸別所得補償などがマニフェストに集約され、それが大きなアドバルーンになっています。しかし、あまりにも金額が巨大すぎます。それ以前に、この国の財政はすさまじく火の車です。公約を見つめれば見つめるほど財政の面からの実現性に危惧を感じています。まさにバラマキそのものです。頑張って無駄の節約をすれば、1兆円は捻出できると思いますが、本当にあちこちに巨大な無駄があって、10兆円を超える財源が出てくるとはとても考えられません。
 政権を取ったら、国民新党や社民党と政策協議をし直さなくてはなりませんから、そのときを生かして、一度約束した政策を実行するにしても、少し時間をかけるとか段階を踏むとか、堅実に一歩一歩踏み出してもらいたいですね。結果的にマニフェストを修正してでも、着実に新政権のスタートを切って欲しいと思っています。

以上引用(引用が著作権に触れるようでしたらメールでご連絡ください。)

 僕はやはり、最初のマニフェストが大盤振る舞いすぎて現実の財政のひどさを見なかったということに起因している気がします。
 スキャンダルはいつもあることですが、この財政を考えない「大盤振る舞い」の感覚を鳩山首相も強く持っていて、始めは耳あたりがいいのですが、実際になると当然実現できないのですね。
 普天間問題も「県外」といって自らハードルを高くして苦しんでいる。消費税も「上げない」といって、財政は火の車。
 これらのことは、首相に先見性や責任感が欠如しているように周りからは見えます。いつも甘いことを言っても実現できなければ批判されて当然。しまいには本当のことも信じてもらえなくなります。国民に耳の痛いことも、必要であれば言う、そういう責任を持ってやっていってもらいたいです。
 ケネディ大統領も「あなたが国に対して何ができるかを問うて下さい」と言いました。考えてみれば厳しいことを言っているのですが、それだけの覚悟で言えば国民も評価するのです。
 小沢幹事長は、自分の意見をテコでも動かさない人で、それがプラスに働くときもあれば、対立を生むこともあります。しかし、今更幹事長とケンカしたらマイナスイメージが大きくなります。小沢幹事長は空気に流されたような意見には耳を傾けません。みなさんも、「日本改造計画」ではなく「小沢主義」を読んで下さい。幹事長の政治に対する心構えやリーダー観がよくわかります。
 党内の対立はよくないとは思いますが、小沢幹事長にも言いたいこともあります。やはり、現在の都市の無党派層はイメージに流されやすい。それがよくないことでも、票を得るためには知っておいてもらいたいです。ですから、自分の意見を通すにしても「民主党」の「ブランドイメージ」を損なわないという配慮が必要だと思います。自民党時代のように、権力を誇示すれば勝てるわけではないのです。自民党時代と同じ手法でやって、結局勝てなければ意味がないじゃありませんか。ですから、その点も頭に入れて欲しいと思います。
 今の情勢では、選挙で勝つのは難しいでしょう。これは、僕の個人的意見ですが、やはり政権はある程度長くやって評価するべきだと思うのです。自民党政権のようにコロコロ首相が変わっていれば、政策はまた官僚まかせになってしまいます。
 アメリカでも中間選挙で与党が負けることがよくあるようです。ですから今は衆議院で2/3以上の議席があるのですから、過半数を割っても鳩山政権を維持するということを確認してもらいたい。世間は飽きっぽいので、ちょっとケチがつくとすぐ離れて新しいものに眼を向けますが、それでは本当の政権交代とは言い難いのではないでしょうか。
 もちろん首相や閣僚は反省して欲しいですが、また政権がコロコロ変わって、政治がイス取りゲームになって、単なる好奇心の的にすぎないものになるのはもううんざりです。

また、政権に対して意見があるときはblogに書いていきたいと思います。

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