『リアルのゆくえ おたく/オタクはどう生きるか』大塚英志、東浩紀を読みました。
2001年から2008年までの何回かのお二人の対談集です。
東さんは、オタクの人達は欲望を充足するだけの動物化しているといいます。
大塚さんは、東さんに他者とぶつかり合うことで「公」ができる、日本はこの近代の課題をやり損なったといいます。
大塚さんは、東さんの冷めた見方に苛立って、自分の立場をしっかりと主張せよとせまります。が、東さんはあくまで、冷めた視点を放棄しません。
このようなディスコミュニケーションが続くのですが、あとがきでは東さんは大塚さんを尊敬しているといいます。
新人類世代の大塚さんと、団塊ジュニア世代の東さんの世代的な対立にも思えます。
しかし、普遍的な年長者と若者の対立の様にも見えます。
僕は、大塚さんが自分の立場を体を張って主張する人だということを尊敬しますが、東さんの認識、すなわちこれからの社会の権力はもっと工学化されたものになってくるという主張にも賛成です。
感情論よりシステムが大事だという東さんの主張は、ちょっと昔の宮台真司さんを想起させます。影響もあるのでしょう。
しかし今、宮台さんは共同体主義者になってしまった。それを見ると、単にシステムだけの問題で、社会の問題が解決されないのかもしれないとも思えてきます。
この本には、結論はありません。
この様な異なった立場の人達が真剣にぶつかり合った記録として本書の価値はあるのでしょう。
僕は、あくまで努力目標としての近代という大塚さんの主張には賛成しますが、無邪気にそれが可能だとは思いません。
近代化できない理由を冷静に分析する態度も必要だと思います。
2013年2月28日木曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿