2013年2月5日火曜日

「ふしぎの海のナディア」

NHK総合テレビで1990年から39回放送のアニメ「ふしぎの海のナディア」をネットで全話見ました。
バンダイチャンネルでiPadで見ました。
「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明監督が総監督を務めた作品ということで見ました。

今、感動でいっぱいです。

以下、ストーリーを書きます。

舞台は19世紀末のパリの万国博覧会。
発明好きの眼鏡の少年ジャンは、不思議な宝石を持った褐色の肌の少女ナディアと出会います。そこに、その宝石を狙った悪の三人組がナディアを襲います。ナディアはサーカスの少女だったのです。ジャンはナディアを自分で発明した飛行機や船で救います。

これって「天空の城ラピュタ」と「タイムボカンシリーズ」をかけ合わせただけじゃないか、と思いました。

その後、海にでて、戦艦に救われてまた海に投げ出され、今度は万能潜水艦ノーチラス号というSF的な乗り物に助けられます。

色々なジャンルのアニメがあわさって妙な感じです。

「ラピュタ」に似ているのは、Wikipediaによると「ラピュタ」を作る前に宮崎駿監督がNHKに海底を世界一周する物語を持ちかけていたかららしいです。

「ラピュタ」はSFですが、主人公が乗る飛行機も19世紀らしい雰囲気で作られていますが「ナディア」は、19世紀の少年が21世紀のマシンに乗るような奇妙なギャップが存在します。

「ラピュタ」と「タイムボカン」と「ヤマト」と「ガンダム」と「マクロス」を混ぜたような感じです。
でも、それでどんどん話が進んでいくのです。

ノーチラス号が壊されてから、ナディア、ジャン、4歳の少女マリーと、ライオンの子どもキングは、無人島に流されてしまいます。

するとそこからは、無人島での生活が何話か続きます。

さらに悪役3人組のグランディス一味と再会して、そこから奇想天外なギャグが続きます。

その一方でナディアは、古代アトランティスの末裔で宇宙人だということが分ります。そして、アトランティスの復活を目論む悪の組織ネオアトランティスのガーゴイルという覆面の悪者と戦います。

古代アトランティスの文明を持ったネオアトランティスは、一つの島を爆破させるほどの力を持っています。
それに対抗できるのは同じく古代アトランティス文明の力で復活したノーチラス号のネモ船長だけです。

この様に、極めておふざけなギャグと、極めて深刻なドラマが平行して続いていきます。
人が殺されるシーンがでてきたりもしますが、グランディス一味も仲間になって最終話まででてきます。

このハチャメチャだけど泣ける展開は、「トップをねらえ!」などGAINAX作品の特徴でもあるようです。
庵野監督がどの程度ストーリーに関わったのだろうかと思っていましたが、Wikipediaによると、かなり関わっているようです。

他のアニメに似ているのは、かなり意図的なオマージュのようです。

物語の中で、ジャンは人のいい男の子でいつもナディアを喜ばせようと頑張りますが、ナディアはいつもつれない態度で落ち込んでしまいます。
ナディアは気が強くて、何でも一人でやっていこうとします。そして、サーカスで動物が殺されるのを見てから、肉を食べない菜食主義者になります。庵野監督が肉を食べないのは有名です。そして、動物を殺す人を残酷だと非難します。
ナディアがこれだけ気が強いのは、色の黒いアフリカ人でサーカスで育ったという疎外感が強くて、素直に人に甘えられないからではないでしょうか。
僕もはじめに見たとき、色の黒い主人公というのはどういう意味でこの設定にしたのだろうと不思議に思いましたが、しだいにナディアの魅力に惹かれていって肌の色なんて気にならなくなりました。
ナディアも徐々にジャンに心を許してファーストキスをします。
このようなナディアの心の変化も物語の魅力の一つです。

4歳の女の子マリーも、ライオンのキングを思いっきりいじめて喜んでいる姿などは笑えます。こどもらしいわがままさや、お兄さんお姉さんたちに愛想を尽かすようなところは面白かったです。

最後に、残忍なガーゴイルをやっつけて、宇宙から地球に帰って終わりになるのですが、その後に後日談があります。

そこでは、ジャンとナディアは結婚していました。感動しました。
シリアスな戦いがあってネモ船長は実は娘であったナディアを「生きろ!」といって逃がし自分は敵の要塞とともに爆発してしまいます。

深刻な物語のラストにしんみりしているところ、物語のあとに十数年たったマリーが後日談を語ることで明るい気分になれます。

ストーリーが辻褄あわせのようなところもあり、この作品は作りながら物語を考えていったのではないかと思わせるところもありますが、結果的には予想以上の面白い感動的な作品になっていました。

またWikipediaによると関連商品も多数発売されて、違ったストーリーも多数生まれたようですが、僕はこのオリジナルが好きです。

「エヴァンゲリオン」と共通する部分も探せばありますが「ナディア」の方がずっと健康な作品といえるでしょう。

ジャンとナディアが、シンジとアスカに重なる部分もあります。例えばマリーが二人を夫婦ゲンカだと揶揄するところとか、ナディアが気位が高くて冷たいところとか。しかし、ジャンはシンジと違って発明には天才的な才能を見せるなど自信家でもありますし、超エリートのアスカと違って、ナディアは底辺で生きてきた人です。共通点を探すこともできますが、違いも重要かなと思います。

ただ終盤まではナディアの気の強さと怒りっぽさにちょっとあきれてしまいます。もう少し可愛げがあってもとも思ってしまいますが、それが終盤になって可愛げがでてきてさらに魅力的になっていく感じがしました。

「エヴァ」にしばらくはまっていて、「エヴァ」の世界に浸っていましたが、それがこれを見て今は「ナディア」の世界に居心地のよさを感じています。

0 件のコメント:

コメントを投稿