2010年10月16日土曜日

共産党宣言


今日は朝日カルチャーセンター新宿校で、神奈川大学教授の的場昭弘先生の「早わかりマルクス『共産党宣言』1日入門」という講座を受けました。

『共産党宣言』の初版は1984年の2月革命直前に書かれた。

72年に、マルクスとエンゲルスの名前をつけて『共産主義者宣言』というタイトルで第二版がでました。

『党』か『主義者』かという争いは日本だけにあって、それは旧左翼と新左翼の対立で出てきたことです。

4章ありますが、今日は一番要点をおさえた1章だけを解説されました。

「階級」とは経済的カテゴリーで、資本主義社会になってはじめて全面化した。

それまでは、「身分」であった。

どのようにブルジョワ階級が生まれたか。
もともと中世の都市国家からはじまる。
都市国家は古いブルジョワで代々くつ屋はくつ屋、ギルドがあって競争はない。親方は市議会議員などになる。
これが都市国家ブルジョワ民主主義であった。
が、その城壁の外に農村から追い出された「城外市民」がいた。
彼らがおよそ1000年かけて新しいブルジョワ階級になる。

古いブルジョワに対して、安いものを売って、となりの街にいっても売りまくる。お金を貯める。
大航海時代に市場を外の世界に求めた。
質から量への変化が起こる。
そこで生まれた新たなブルジョワ階級の下に搾取される労働者「プロレタリアート」が生まれる。

ブルジョワははじめプロレタリアートに旧支配者の封建的なものをこわさせる。しかし、それで彼らは豊かにはなれなかった。
やっぱり敵はブルジョワだとなる。
ブルジョワの中からプロレタリアートを応援する人も出てくる。マルクス自身もそうであった。
それを外部注入として批判する人もいるが、革命家は革命が終われば去らねばならぬとうことをマルクスは知っていた。
モーセが約束の地に入れなかったように。

この本は現在のグローバリゼーションを最も上手く描き出した本である。
48年革命で「国家」による革命への締め付けが強くなったが、冷戦崩壊後グローバル化した資本主義が剥き出しの欲望をあらわす。

各国が同じマクドナルドのハンバーガーを食べるようになった。
現在、豊かな国は食べ物が余っている一方、10億人の人が飢えている。

先進国は安い労働力で途上国の労働者に労働をさせる。民族文化も壊していく。

マルクスは最後に「ブルジョワ階級の崩壊とプロレタリア階級の勝利は同時に避けられない」と言っている。
ただし、それには時間がかかる。新ブルジョワ階級が生まれたのに1000年かかった。資本主義社会が生まれて200年しかたっていない。


今まで漠然とわかっている気になっていたマルクスの思想が少しでもクリアになったように思いました。
マルクスは単にブルジョワを憎んでプロレタリアートを支援したという単純な話ではなく、その発生を説明したのだと聞いて、なるほどと思いました。

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