2010年10月19日火曜日

吉本隆明


今日は、朝日カルチャーセンター新宿校で文芸評論家の高澤秀次先生の「吉本隆明『共同幻想論』を読みなおす」という講座を受けてきました。

この本が書かれた1968年は世界中で学生運動が盛り上がった時期で、フランスではパリの五月革命が起こりました。その時活躍したのがポスト・サルトルの思想家たちでした。
日本においての思想界のスターが吉本隆明さんでした。

当時はマルクス主義の影響が大きく、マルクスの下部構造が上部構造を規定すると多くの人が考えていました。吉本のユニークな点は下部構造をかっこに入れて、上部構造だけを扱ったことです。

批評家の柄谷行人さんは、共同幻想は内部から見た時にだけ可能だと批判します。
上部構造論は、アドルノ、ホルクハイマー、ハーバーマス等もやっていてたといわれます。

この本は『古事記』と『遠野物語』の分析です。

今回は『古事記』についてでした。

西郷信綱さんという吉本さんより年長の学者が『古事記の世界』という本を書いていますが、当時吉本に批判されたおかげで、吉本の読者は否定的に見るようになりましたが、中身は構造主義や記号論を使ってわかりやすく書かれていたと高澤さんはいいます。

また、吉本さんの欠点でありユニークな点は「神話」と「物語」を分けないということです。

吉本さんによる神話の解釈は、
「父に疎まれる子」
「兄妹姦」
が基本にあります。
また、
「欠乏」
「過剰」
の対比をよく行います。

それらで、吉本さんなりの『古事記』解釈が進んでくのですが、今の歴史学からすれば、間違っているところもあるそうです。

しかし、フーコーも歴史的記述には誤りがあったといいます。
間違ってもチャレンジしたことに多くの人が魅きつけられたのではないでしょうか。

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