2015年8月12日水曜日

「ナルシシズムの導入に向けて」フロイト

岩波書店『フロイト全集 13 1913-14 モーセ像 精神分析運動の歴史 ナルシシズム』のうち「ナルシシズムの導入に向けて」立木康介訳、を読みました。

『自己愛家族 -アダルトチャイルドを生むシステム-』という本の中で、フロイトの「ナルシシズム論文」が紹介されていて、読むことをお勧めしますとあったので読みました。

この歳になってフロイト自身が書いた論文をはじめて読みました。

内容は、リビード(性のエネルギー)がいかに自分に向かうかという考察です。

フロイトの文章は流麗なのですが、さすがに難しくて全部理解できたとはいえません。

袂を分かった、弟子のユングやアドラーに嫌みをいうところなどは面白かったです。

よくいわれることで、否定する人もいますが、フロイトは主に神経症を、ユングは主に精神病を扱ったので彼らの思想の性格の違いが生まれたというのがありますが、フロイトの文章を読んでいると本当に神経症的だなと思いました。特にユングに比べて。よくこんな細かいことまで分析するなと思います。すごい天才であると思うと同時に、ここまで細かく考える必要があるのかという疑問も浮かんできます。どうせ、この言説もいつかは覆されるのに。実際に患者のためになるのかという疑問もあります。そういう面では、僕はユングの方が実際的に治療に役立つことを考えた人なのではないかという気もします。フロイトと比べたらユングの思想の方が細かくはありませんが。

しかし、この時代にナルシシズム、自らにリビードを向ける病理に注目したのはすごいことだと思いました。

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