2015年8月13日木曜日

『アダルトチルドレンと共依存』緒方明

『アダルトチルドレンと共依存』緒方明、を読みました。

表紙には次のようにあります。

「「アダルトチルドレン」という言葉は、本来、アルコール依存症家族の中で育って大人になったアダルトチルドレン・オブ・アルクホリックに由来する。また、「共依存」という言葉は、そのアルコール依存症者とそれを支える配偶者との関係を指す。これらが、次第にアルコール依存症の枠を超えて広い意味で使われるようになってきたのが現状である。前者は、家族がうまくいってない「機能不全家族」のなかで大人になった人たちにも当てはめて用いられるようになった。伝統的家族の崩壊とともに、世代から世代へ受け継がれていく病理を断ち切るために、改めてこれらの概念を整理し、心理学・精神医学の立場からわかりやすく解説したものが本書である・・・。」

僕はかねがね、「アダルトチルドレン」という概念を伝統的な精神医学や心理学が、民間の概念として軽視してきたことに不満を持っていました。
「アダルトチルドレン」として苦しんでいるいる人が現に大勢いるのに。しかも、治療によって回復することが可能なのに。これを無視していいのでしょうか。

この本の問題意識は、僕の問題意識と重なります。

「アダルトチルドレン」や「共依存」を、学問的に整理して、伝統的精神医学や心理学に訴えかけます。

こういう本が欲しいと思っていました。今までの「アダルトチルドレン」の本は、一般人向けに書かれたものが、特に日本では多かったです。この本では、外国の文献を主に参照して、専門家にも通用するように書かれています。感情に流されずに、公平に書かれた本だと思います。

「拒食症や過食症が、米国に送れて十年ぐらいしてわが国に上陸したように、「アダルトチルドレン」や「共依存」が頻出する日がやがてやってくると思われる。」

と、96年の段階で書いています。当然のことのようですが、重要な指摘だと思います。

本書ではまず「アダルトチルドレン」について、次に「共依存」について書かれています。
最後に、この両者からの回復の方法について書かれています。


「アダルトチルドレン」について。

クリッツバーグによると「アダルトチルドレンには、恐怖心、怒り、精神的な傷つき、恨み、邪推、孤独感、悲哀、屈辱感、自責感、無感動が認められる。さらに、悉無律(しつむりつ)(オール・オア・ナン)形式による絶対的確信、情報不足、強迫的思考、優柔不断、学習の障害、混乱、過敏などがあり、危機志向型人生(クライシス・オリエンティッド・リビング)を送り、操作的行動、親密性の障害、楽しむことの困難、注目を引くための集団への参加などが見られる。」

カーンによると「内なる感情を同一化する能力の障害、危険に遭遇したときの経験不足、見捨てられ感情、親密性を育む障害、介入や変化への抵抗が認められる。」

ブラックによると「依存、同一化の障害、感情表現の障害、親密性の障害、他人を信頼する力の障害などの特徴がある。」

フリエルとフリエルによると「その多くの部分が「否認」から生じている。酒を飲んで頼りにならない父、繰り返される両親の不和などの慢性的な「家庭内トラウマ」からこころの防御をするためには、子どもは自己を「分裂」(スプリッティング)させて、もうひとりの自分となって現実を「否認」するしかない。その結果として、現実の日常だけではなく、内なる自己の感情も「否認」し、他人との親密性を拒否し、自己をコントロールしてしまう。」

「分裂、価値観の切り上げや切り捨て、投影性同一化、否認などの「原始防衛」を大人になるまで用いつづけたり、慢性的な「見捨てられ感情」にさいなまれ、不安にさらされたり、抑うつになったり、共感されない人生を送る。」

「また自分の気持ちを抑圧するなどの「神経症性防衛」などを用いることもある。それらの結果として「境界型人格障害」や「自己愛的人格障害」などの人格障害や、「不安神経症」や「強迫神経症」などの神経症、あるいは「嗜癖」などの「症状」を呈するアダルトチルドレンになっていくひともいる。」

アダルトチルドレンの生きづらさについてこう述べます。

「子ども時代を子どもとして過ごすことができなかったアダルトチルドレンは、周囲に気を使い、自分の感情を抑えて子ども時代を過ごしている。したがって、大人になっても、素直に自分の感情を表現することができず、自分の気持ちを言いたいときに言い出しかねたり、抑えすぎて急に感情が爆発したりする。」

「また、ブラックが指摘するように、泣くときに泣けなかったり、ひとりぼっちで声を立てずに泣いていたりする。その抑圧された感情が、怒りになることもある。さらに、特定の感情経験に反応して、転職、結婚、離婚などのときに、「白か黒か」の決定的な決断をしてしまいやすく、「生きづらさ」を自らも体験している。」

「また、大人を信頼できない子ども時代を送ってきたので、他人を信頼する力が弱い。したがって、他人を信頼していないので、援助や助けを求めるのが下手である。同時に、甘えたくても甘えることができない子ども時代を送ってきたので、依存したくてもできずに、自分のこころをコントロールしたがったり、支配しようとする。さらに、間接的に相手のこころもコントロールしたがり、支配しようと一生懸命になる。しかし、相手のコントロールや支配が失敗すると、相手を恨み、信頼しなくなる。」

「子ども時代を寂しく暮らしてきたアダルトチルドレンは、大人になっても得体の知れない寂しさにさいなまれたり、抑うつ的になったり、不安になったりする。結婚や恋愛をしていても寂しく、家族を持ってもなお孤独なことがある。そして相手から見捨てられることに過剰に敏感であったり、自分が相手を見捨てるのに過度に鈍感であったりする。」

「また、両親の葛藤や家族関係の歪みに自分が関連しているのではないかと感じて子ども時代を過ごしていると、自責感が強く、自己評価も低くなりやすい。夫婦関係や家族関係が悪くなると、自分を責めてしまい、自己卑下してしまう。」

「ブラックが指摘するように、感情表現、信頼、依存、支配などに問題があるアダルトチルドレンは、上記のように、家族や社会での対人関係に微妙な問題を起こし、「生きづらさ」を感じながら人生を送ることになる。」

アダルトチルドレンは、症状に現れることもあります。フリエルとフリエルによると、その症状としては、うつ病、不安障害、パニック障害、恐怖症、強迫性障害、解離性障害、人格障害、同一性障害などが認められ、さらに摂食障害、嗜癖(アディクション)、胃潰瘍や大腸炎などの消化器障害、睡眠障害、呼吸器障害などがあるといいます。クリッツバーグは加えて、肩凝り、背部痛、性的機能障害、アレルギーなども認められといいます。マテューらは、アルコール依存症家族に育った狭義のアダルトチルドレンは、空間恐怖や単一恐怖が強く、気分変調症、全般性不安障害、パニック障害、反社会的症状を高率に持っているとしています。

思春期のアダルトチルドレン。

アダルトチルドレンは、思春期までをアルコール依存症家族や機能不全家族に育ったCOA(チルドレン・オブ・アルクホリックス)やCOD(チルドレン・オブ・ディスファンクショナル・ファミリー)が成人してA(アダルト)になったACOA(アダルトチルドレン・オブ・アルクホリックス)やACOD(アダルトチルドレン・オブ・ディスファンクショナル・ファミリー)のことです。
思春期のアダルトチルドレンは、クリッツバーグによると次の5つの役割のどれかを担わされるといいます。

1.「家族英雄」
2.「道化者」
3.「なだめ役」
4.「犠牲者」
5.「いなくなった人」

また、思春期のアダルトチルドレンは、比較的「静かな思春期」を送っている人が多いともいいます。これは、「激動の青年期」の前奏曲とも形容できるといいます。

大人になってからの役割は、ブラックのいう「責任を背負いこむ人」「順応者」「なだめ役」やロールやベプコーの「無責任者」と「過剰責任者」などがあります。

機能不全家族。
アダルトチルドレンは、「アルコール依存症家族」だけでなく「機能不全家族」からも生まれます。
「機能不全家族」の主な定義は以下の通りです。

ズパニック、「情緒的見捨てられ」があり、情緒的欲求が満たされない家族。その様な家族の子どもは「子ども時代の喪失」と「幻想的両親の喪失」の二つのタイプがあるといいます。

ブラッドショーやウィットフィールドら、「内なる子ども」を喪失した家族。

ウィークランドら、責めたり、感情的に過剰に反応したり、問題を否認してそれを解決しようとする家族。

クリッツバーグ、「否認」「硬直性」「沈黙」「孤立」の四つのルールがある家族。

フリエルとフリエル、以下の10の特徴のうちいくつかがあてはまる家族。

1.身体的虐待、感情的虐待、性的虐待、無視、その他の虐待。
2.完璧主義。
3.融通性のない家族ルール、生活スタイル、信念システム。
4.「話すな」のルールと、家族の秘密を守ること。
5.自分の感情を見きわめたり、表現したりする力のなさ。
6.家族の他のメンバーを介してのコミュニケーション。
7.二重メッセージ、二重拘束。
8.遊んだり、楽しんだり、自然に振る舞うことのできなさ。
9.不適切な行動や痛みに対する耐性がありすぎること。
10.境界が不鮮明な網状家族。

クラウスとクラウス、「抑圧家族」。

世代伝承について。

アルコール依存症家族に育ったアダルトチルドレンは配偶者にアルコール依存症者を選ぶ傾向にあるといいます。そこで、アダルトチルドレンはアダルトチルドレンを生むという「世代伝承」が起こる可能性が高いといいます。ただし、虐待を受けた親が必ずしも虐待をするとは限らないのと同じように、アダルトチルドレンの子が必ずアダルトチルドレンになるかは分らないともいいます。

寡黙について。

アダルトチルドレンは自分が受けた心的外傷を語りたがりません。それが、アダルトチルドレンの発見を遅らせているかもしれないといいます。本当に共感して安心できる場でなければアダルトチルドレンは自分の過去について話そうとしない。それは「否認」の心理機制が働くからです。カウンセラーはよほど注意して臨まなければいけないといいます。


共依存とは。

アルコール依存症者には、それを支える配偶者が必ずいます。彼女らは「支え手」(イネイブラ-)とよばれています。1970年代には、「コ・アルコホリズム」とよばれ、次第に「パラ・アルコホリズム」と、そして「コ・ディペンデンス」(共依存)とよばれるようになってきました。
そして、現在アダルトチルドレンと同様「アルコール依存症」のない「機能不全家族」にも拡大されるようになってきています。
アダルトチルドレンと「共依存」の人の特徴は共通したものが多いです。では、アダルトチルドレンと「共依存」は同じものの別称なのでしょうか。それは、「今後の検討が必要である」としています。しかし、アダルトチルドレンが個人のものであるのに対して「共依存」は「他者」が必要だといいます。「共依存」は関係性の病理なのです。

共依存の出現率に関して。

ウェグシェイダー=クラウスとクラウスは全人口の96%が、「共依存」だと報告しています。チェルマックは25%、ブラッドショウは米国人の100%が「共依存」だといいます。サティアは95%とします。ウィットフィールドは「共依存スペクトラム」を提唱して、「健全家族」0~5%、「機能不全家族」95%であり、95%のうち25%が重症の「共依存」で70%が比較的軽症の「共依存」だとしています。こうしてみると、「共依存」の概念自体がいまだ曖昧なままだと思えてきます。

援助専門職と共依存の関係。

ナース、医師、ケースワーカー、心理カウンセラーなどの「援助専門職」(ヘルピング・プロフェッショナル)には「共依存」の人たちが多いとされています。親や配偶者に嗜癖者が多いというのが理由ですが、正常コントロール群との厳密な比較がなされてないし、対象は「嗜癖」のワークショップに参加した者に限られているのであまり信用できないともいいます。

共依存の診断基準。

チェルマックの定義だと(狭義の)共依存の特徴は次のようになります。

1.逆境に直面したときに、自分や他者の感情や行動を支配したりすることに自己評価を置きつづける。
2.自分の欲求ではなく他者の欲求に合わせることが、自分の責任だと思い込む。
3.親密性や分離に関しての不安や境界の歪み。
4.パーソナリティ障害、嗜癖者、共依存者、衝動的な人とあいまいな関係がある。
5.次のうち少なくとも3つが存在する。
①過度の否認
②感情の抑圧
③抑うつ
④過度の用心深さ
⑤強迫性
⑥不安
⑦物質乱用
⑧反復する身体的、性的虐待の存在
⑨ストレス性の病気
⑩物質乱用者と少なくとも2年以上関係がありならがも援助を受けないでいる。

ウィットフィールドの(広義の)共依存の人間としての特徴は以下のうち一つでもあてはまるものがあることだといいます。

1.救済者
2.おべっか者
3.高成功者
4.自信喪失者
5.完璧主義者
6.犠牲者
7.殉教者
8.嗜癖者
9.強迫者
10.妄想者
11.自己愛主義者
12.いじめっ子
13.虐待者
14.失われた子ども
15.おどけ者

また、ウィットフィールドは「共依存」には以下の12の基本的特徴があるとしています。

1.学習性、獲得性
2.発達性
3.外部指向性
4.自己喪失の病
5.境界の歪み
6.感情の障害
7.関係性の障害
8.一次性
9.慢性
10.進行性
11.悪性
12.治癒可能性

シェフによると「共依存」には以下の17の臨床特徴があるといいます。

1.不正直(否認、投影、妄想)
2.感情の障害(凍りついた感情、歪んだ感情)
3.支配
4.混乱
5.思考障害
6.完璧主義
7.他者指向性
8.依存
9.恐れ
10.強剛性
11.批判主義
12.抑うつ
13.劣等感/誇大主義
14.自己中心主義
15.道徳観の欠如
16.無感動や無欲
17.悲観主義

メロディは「共依存」を「一次症状」と「二次症状」に分けています。以下の通りです。

「一次症状」
1.適切なレベルの自己評価を体験できないという自己を愛せない障害
2.自己と他者の境界設定ができずに、他者に侵入したり、他者の侵入を許したりするという自己保護の障害
3.自己に関する現実を適切に認識することが困難であるという自己同一化の障害
4.自己の欲求を適切に伝えられないという自己ケアの障害
5.自己の現実(年齢や状況)に沿って振る舞えないという自己表現の障害

「二次症状」(主なもの)
1.見えざる逆支配
2.恨み
3.スピリチュアリティの障害
4.嗜癖、精神疾患、身体疾患
5.親密性における困難

シャロン・ウェグシェイダー=クラウスは「共依存」に「支え手」(イネイブラ-)以外に4つの役割があるといいます。以下の通りです。

1.支え手(イネイブラ-)
2.家族英雄(ファミリー・ヒーロー)
3.マスコット
4.犠牲者(スケープゴート)
5.失われた子ども(ロスト・チャイルド)

ウィットフィールドによると「共依存」による「心身症」を生む「機能不全家族のルール」とは、次の6つであるといいます。

1.自分の感情や問題をオープンに話してはいけない。
2.話す必要のない人と話すのはいけない。
3.自分らしくあってはいけない。
4.常に強く、善良で、完全で、幸せでなければいけない。
5.遊びごころをもったり、楽しんではいけない。
6.感動してはいけない。

このように「真の自己」を隠してしまうことで「身体症状」が出現してしまうといいます。

「このことは「共依存者」が内科や整形外科やヨガなどの身体を癒す場所を訪れる可能性が高いこともしめしている。」

「共依存」の成因とは。
共依存にはいくつかの成因が考えられています。
◯ケミカル・ディペンデント
クロニンジャーらは、この言葉をアルコールや薬物などへの化学物質依存という意味と脳内の化学物質によって依存が成立するという二つの意味で使っています。
◯心的外傷後ストレス障害
幼少期から大人になるまでに心理的な外傷を受けた人が、精神的な症状を呈することです。
◯世代間家族システム
プレストとプロビンスキーは、人は「配偶者選択」のときに二者関係は不安定なので第三者を介入させるといいます。その際「行動」や「物質」が用いられることを「不安結合メカニズム」とよんでいます。すると「分化」が弱まり「融合」が強くなります。そして「親密性」と「同一性」の発達を障害するといいます。
◯対人関係モデル
ホッグとフランクは、サリヴァンの「対人関係論」の視点から、一方に「共依存」をもう一方に「対抗依存」置きます。健全な人はその中間の「中間依存」の位置にいます。しかし「共依存」の人はそれができなくなります。
◯心理的ストレス
メンデンホールは、アルコール依存症は「家族の病」だとは考えません。アルコールの「共依存」は、アルコール依存症者と一緒に暮らしているために起こるストレスによる状態だと考えます。
◯自己愛説
チェルマックの説は、機能不全家族に育ち、共感されずに育つと、「病的自己愛」が出現するというコフートの理論を援用したものです。


最後にアダルトチルドレンと共依存の治療について書かれています。
「アダルトチルドレン」と「共依存」は、ともにアルコール依存症や機能不全家族による、小児期からの慢性的で反復性の「家族内トラウマ」を原因としているので、その治療法も同じ方法になるといいます。
ズパニックは次の2つの治療原則が重要だとしています。

1.子ども時代の喪失を認め、理想化・幻想化している親を捨て去ること。
2.自分が自分の親代わりになる技術を学ぶこと。

そして治療のプロセスは、第1段階は、「否認」を解くこと。
第2段階では、否認していた怒り、抑うつ感、罪業感、絶望感を表現すること。子ども時代に剥奪されていた悲哀を真の意味で喪失体験する「グリーフ・ワーク」(悲哀の仕事)をすることです。
第3段階では、理想化された親の代わりになってくれる人を探すこと、だといいます。

否認を解くには、アダルトチルドレンや共依存について書かれた本を読むことを著者は勧めています。
それで回復する人はそれでいい。しかしそれでも回復しない人はセルフヘルプ・グループに参加することが大切だといいます。ただセルフヘルプ・グループは、自己憐憫になってしまう危険があるので注意が必要です。また、アダルトチルドレンや共依存の知識のある治療者を訪れることも大切です。治療者が心理教育的アプローチをすること。分りやすく、ゆっくりと、相手を傷つけないように説明する治療者が重要です。そこでは本人の育った家庭環境、心的な防衛機制、役割などを教える必要があります。

ただ、アダルトチルドレンや共依存には言語的アプローチだけでは限界がある場合があります。したがって、何らかの形で身体を使った「体験療法」が重要になってきます。
「アートセラピー」「ボディセラピー」「メディテーション」、傷つけた親に出さない手紙を書くなどをする「ジャーナリング」などの「体験療法」で「グリーフ・ワーク」をして理想化され幻想化された親を捨てることが重要です。その際、「リチュアル」(儀式)が効果的だといいます。

カウンセラーの姿勢でいうと、カウンセラーが支配的になるとクライエントはカウンセラーに「絶対依存」がおこり、両者の「共依存関係」がおこり、治療が長期化したり悪化したりすることがあります。カウンセラーは中立性を保つことが求められます。

そして、最終的に親の代わりを探すのですが、それはズパニックがいうように自分が自分を「育む親」(ニュートラント・ペアレント)になることです。アダルトチルドレンも共依存者も自己評価が低いので、肯定感を与える「エンパワーメント」が大切です。

ここに示したことが全てではありませんが、「家族内トラウマ」からの真の回復には、心の中の「内なる子ども」(インナー・チャイルド)や「内なる親」(インナー・ペアレント)の発見が大切です。それは、「偽りの自己」ではなく「真の自己」の発見です。

「<リカバリーはディスカバリーである>とクリッツバーグは指摘しているが、アダルトチルドレンと「共依存」における治療では、その言葉は実践的で意義深い」

なお、家族療法家のトレッドウェイは「共依存」の概念や治療に批判的です。親や家族を責めすぎているというのです。
しかし、これだけアダルトチルドレンや共依存が社会問題化している時代にはなんらかの概念や治療の発展が必要でしょう。

あとがきで著者は、日本でもアダルトチルドレンに関する関心が高まっているが、「アダルトチルドレン」という呼称に誤解が生じやすいので「トラウマ・サバイバー」と呼ぼうという動きがあると紹介しています。
僕も「アダルトチルドレン」という用語は誤解されやすいと思ってましたので、呼び方を変えた方がいいのではないかと思います。

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