2015年8月17日月曜日

『紫マンダラ 源氏物語の構図』河合隼雄

『紫マンダラ 源氏物語の構図』河合隼雄、を読みました。

ユング心理学者の『源氏物語』の分析です。

著者は、若い頃『源氏物語』を読んであまり面白くなく途中で挫折したそうです。

現代語訳をだした谷崎潤一郎も、光源氏を「女たらし」と批判していたそうです。

しかし、見方を変えて見たときにひじょうに魅力的にうつった。
『源氏物語』を光源氏の物語だととらずに、紫式部が自分のいろいろな面を物語に反映させたものだとして見たといいます。
すると、光源氏とは、紫式部の分身である女たちを映し出すためにたてられた非個性な存在だということになります。

そう考えると光源氏を中心に、女たちがそれぞれ、母ー娘、妻ー娼、という構図をとって曼荼羅をかたちづくります。

そうしてみると、紫式部は実に見事に自らの内なる女性像を描いたといえます。

ただし、後半になってくると光源氏にだんだん人間としての個性が生まれ、自律的になってきます。すると、逆に源氏の威光が薄れていくといいます。そして、現代の小説に近くなる。それはそれで面白いのですが。

このような見方で『源氏物語』を読むとよく分ります。
いままで漫画でしか読んだことがなかった『源氏物語』のストーリーも分って、とても面白かったです。

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