2015年8月3日月曜日

『パブロ・カザルス 喜びと悲しみ』アルバート・E・カーン編

『パブロ・カザルス 喜びと悲しみ』アルバート・E・カーン編、を読みました。

20世紀最高のチェロ奏者の本です。

始め、編者のカーンは、カザルスの本を自分で書こうと思ってインタビューを重ねましたが、自分の文章などいらない、カザルス本人の言葉だけで十分だと考えて、カザルスの言葉だけを載せた本書ができました。

この本のカザルスの言葉が、帯に安野光雅氏が書いている通り、美しい。
時間とともに滑らかに流れる、まるでチェロの演奏を聴いているようです。

単なる音楽家かと思いきや、若いころは哲学や美術も学び、音楽以外の教養もあったのですね。

カザルスはスペインのカタロニアで、貧しい教会のオルガン弾きの息子として生まれます。
その後、音楽の才能を見いだされどんどんと出世していきます。

そして、王侯貴族や国家元首等とも親交を深めます。

しかし、スペインの内戦や戦争のために国外に亡命して、そこで自分のできる限りの平和活動を行います。

戦後もスペインの独裁政治に反対してついに母国へは戻りませんでした。

彼の波瀾万丈の人生も面白かったですが、彼の哲学、人間は本来高貴なものであり、自然は常に時間と共に変化し続ける美しい奇跡であり、芸術家はまず人間であらねばならぬというもの、に感動します。

奥さんが若くて、カザルスは彼女の父親より30以上年上だというのもすごいと思いました。

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