2009年9月14日月曜日

小沢一郎

私は、小選挙区には反対だった。小選挙区では少数政党が議席を獲得する可能性が低く、少数者の意見が、政治に反映されにくいと思ったからである。
しかし、中選挙区の問題もある。一つの政党に複数の候補が議席を得るので、反対か賛成かの民意が分かりにくい。政党の中で競っているとどちらに入れていいか分からず、結局、個人的なコネや利益で投票されやすくなってしまう。政党の理念なんてお飾りのようなもので、個人の中傷合戦になってしまうし、支持率が極端に変わらない限り与野党の政権交代は起こりにくい。
比例代表も一長一短で、小党乱立で政界の混乱が続くこともあるし、政党を選ぶので政治家を選べない、選べる制度も可能だが現在の我が国の比例は党が順位を付ける(衆議院では惜敗率で決まるが)。また、選挙区も広いため全てを回ることが難しく、全国的知名度が高いからという理由で、TVに良くでくるタレントやスポーツ選手を擁立したりしてしまう党もある。
現在は、衆参ともに選挙区制と比例制を両方含む。しかし小選挙区は衆議院だけだ。現在の衆議院のような並立制は、理念の異なる制度を接ぎ木したものなので、矛盾が多く含まれるのではないかと思い、現在の制度に、導入時には反対だった。しかし、回を重ねるうちにだんだんなじんできて、小選挙区で破れたら全く自分の意見を国会にしめせないよりも、比例の復活もいいのかなと思い始めてきた。それから、小選挙区では大きく差がつくというのは郵政選挙で証明されたが、今回は、その利点である「選挙による政権交代」しかも、利害よりも政策で選挙が争われたのはよい面だと思う。この為にこそ、選挙制度を変えたのだから。だから、自民党の方々も、落ち込まずに、前回の民主党も同じ思いをして、その上でこれだけの議席を得たのだから自民党が本当に国民のための政党になれば、次の逆転だっていくらでもありうることを思い良き野党として国のために頑張ってもらいたい。
民主党も、気を引き締めるのはあたりまえだが、それに加えて、よく勉強して官僚と戦って欲しい。ただ誤解しないで欲しいのは、官僚とケンカしろという意味ではないということ。官僚を納得させ、信頼させるだけの力量を、そしてビジョンを持って欲しいという意味だ。私は日本の官僚はそんなに悪い人はいないと思っている。「官僚主義」批判と「官僚」批判とを混同する人がいるが、私が言っているのは「官僚主義」批判であって、「官僚」批判ではない。政治家が利益誘導をして予算を決めたり、党の年功序列や論功行賞で人事を行い、人気取りのために不合理な政策を出してくるのでしかたなく官僚が、自分たちがリードしなければ、と思うのが問題なのだ。従って、その責任は、官僚のおせっかいのしすぎもあるけれども、政治家、そしてそのような政治家を選んだ我々有権者にある事を自覚すべきだ。
私は、本当によい政治が行われれば、官僚も政治家に協力する気になっていくと信じている。
新人議員さん等は、はじめは民主党の言ってることを主張していて官僚と戦っても、言い負かされ、自分の無知を知り、よくよく考えてみると官僚の言ってることの方が正しくて、政治家はその場の人気取りで無責任な政策を言ってきたのではないか、という思いにかられる時がくることがあるかもしれない。でも、そこで国民との約束なんて「大した問題じゃない」と開き直ったら、民主主義は死ぬ。民主主義は必ずしも正しい結果を得られないかもしれないけど、みんなの意見を聞いて政策を実行する制度である。その上で政治家は政治家としてできる最善を尽くすしかない。
以前blogで

http://web.me.com/shunichisuzuki/suzukishunichi/Blog/エントリー/2009/8/16_鳩山由紀夫_1.html

民主党に、国民に甘いことばかり言うと、政権をとったときに、財政は赤字、景気は回復しない、それなのに税金は上げられない、国債は発行できない、と苦しい立場に追い込まれるので、財源のことは選挙のときに明言しといた方がいいですよと、忠告する文を書いた。しかし、民主党の考えは、予算をゼロから組み替える。優先順位の高いものから使っていく。というものだった。そうしたら、それをする「国家戦略局」に期待するしかない。これが本当に役割を果たしたら、すごいことだ。
しかし、期待と不安が両方る。期待は、担当に菅代表代行をあてたこと。菅さんは、薬害エイズ問題以前から、自民党批判よりも官僚支配の弊害を指摘し続けてきた。そして、厚生大臣のとき実際に、消えたファイルを3日で見つけ出し。薬害エイズ問題で国の責任を認めた。だから、名前だけ大臣と呼ばれ喜んでいる人とは違って、実際に行動で示してくれる人だと思っている。しかし、国の戦略をゼロから変えるのは並大抵のことではないと思う。そのためには鳩山次期首相はもちろん、党全体でバックアップしなければならないと思う。一方で党の幹事長には小沢代表代行をあてたが、選挙を戦う上では最善の人選だと思う。小沢さんは、豪腕で選挙に強くて頼もしいのだが、かつては、細川政権のとき、強引すぎて社会党、さきがけを排除し、結局は反小沢の自社さ村山政権を作ってしまって、自民党にまた与党の座を受け渡してしまった。
だから、小沢氏を批判する声も多い。中には単なる誹謗中傷もあるが、民主党だって自民党の悪口をさんざん言ってきたのだから、おあいこかもしれないが。
政権をとれば、感情的な反発を受けるのを覚悟すべきだとblogに書きいた。
http://web.me.com/shunichisuzuki/suzukishunichi/Blog/エントリー/2009/8/31_麻生首相.html

今は、小沢さんと鳩山さんの二重支配じゃないかなどと批判する人もいる。確かに、細川政権のとき幹事長書記長会議が強引にリードして、武村、村山ラインと対立するということがあった。だから、今度も鳩山首相が、小沢さんに気を使って、菅さんの戦略局が形骸化する恐れがあるという指摘もあって当然だと思う。
しかし、小沢さんはその間、与野党で党首としても働き、影で操るのではなく、表に出てきた。また、民主党の党首のになったときに「皆に変われと言ってきたけど、私自身も変わらなければならない」とおっしゃっていた。上記のように、悪口を言う人はいるかもしれないけれど、単なる中傷は気にする必要はないけれども、建設的な批判には、行動でもって答えていただきたい。もちろん、鳩山代表は総理として、政策の一元化のために決して、小沢幹事長に偏らず党をまとめ、菅代表代行は、誰が見ても骨抜きとは思えない、革命的な官から政、いや「民」への政治決定権の移動をおこす「戦略局」にしていかなければいけない。小沢氏も、分裂ではなく、協力体の党を作る幹事長になってもらいたい。いや、ならなければならないと思う。
現在の政権交代はある意味、小沢さんがこだわった、そして自民党を飛び出してまで、激しい批判の中作り上げた「小選挙区制」の賜物だ。あの時の強引さは、私は批判的だったが、しかし私は、小沢バッシングが最高潮にたっした時でも
「私は、小沢さんの政策には反対だ。好きか嫌いかときかれたら、嫌いだ。しかし、彼は私と立場は違っても自分の立場をしっかりと本にして示した。どんな批判があっても自分の意見を表明した。それは、正当に評価すべきだ。それを、立場が違うからといって誹謗中傷するのはマスコミの方が間違っている。もし、反対するなら自分の立場をはっきり示して同じ土俵で政策論争をするべきだ。それを、単なるバッシングでやっつけようというのはよくない」
と、はっきり言っていた。

とにかく、ご祝儀相場が終われば、下品な誹謗中傷から、理論的な批判まで必ず批判がふりかかる。それは、上述の記事で口を極めて言ってきたことだ。それに答える、唯一にして、最高の方法とは「実際によい政治を行う」しかない。

「団結すれば、我々にできないことはほとんどない。分裂すれば、われわれにできることはほとんどない」J.F.Kennedy

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