2009年12月9日水曜日

現政権


現政権の課題をまとめてみよう。
1、景気対策
2、普天間基地移設問題
3、連立与党内の対立

これらに、共通する問題が鳩山首相の態度の問題だと思う。首相ははじめに抽象的な理想をかかげ、その後みんなで議論して、それを聞いてから自分が結論を出すという姿勢だということがだんだん見えてきた。
上記の問題、特に1と2はたいへん難しい問題だと思う。誰がやっても中々うまくいかないのではないか?財政がこれだけひっ迫した中で、大規模な景気対策をするのは大変な困難をともなう。しかし、景気を考えれば何らかの手は打たなければならない。沖縄の問題も、アメリカは全く柔軟な姿勢を示さず、しかし沖縄県民の苦悩は軽減しなければならない。自民党政権だってそう簡単には結論が出せないと思う。
そこで、対策以前にコミュニケーションの問題として、まずこれらがいかに困難かを国民に説明することから始めたらどうかと思う。マスコミの中には、実現不可能な基準で批判する者もいる。「日本経済新聞」は、かなり具体策を示した上で批判しているのでその点は私は評価したい。しかし、一般の国民はどの程度困難かをわからない者も多い。だから、たとえば田中康夫議員とか、蓮舫議員とか小宮山議員とかマスコミ慣れしている人に現状をメディアで説明する広報になってもらうなどしたらどうか。もちろんこれはメディア対策であり問題の本質ではないが。
しかし、そのためには暫定的であっても政権の意思がはっきりしなければ意味がない。その点については、あまりにも結論を先送りする鳩山首相の態度は問題だと思う。もちろんいろんな人の意見をきいて情勢にあわせて臨機応変に対応することは間違えとは思わないが、あまりにもいつまでも考慮中では優柔不断の烙印を押されてしまうし、実際部下もどう動いていいのかわからなく混乱する。大きな方向と、大体の期限ははっきり示した方がいいだろうと思う。そして、正直にこれらの問題においては日本は大変難しい時期にあることを表明することが大事だと思う。普通の人は、民主党の無策なのか、しかたないのかがわからない。
景気対策は「日経」の主張のように、具体的かつ中長期的な方向を示すことが大事だと思う。単なる思いつきか本気かによって企業がどの程度、例えば環境分野に投資していいかわからないからだ。今でも、経済界は環境重視になるとにらんで環境分野に投資している。広告を見てもエコの文字が列ぶ。さらにそれを後押しするには関連法案を出して「我々は、社会の仕組みをこのように変える」という宣言をすることで企業を勇気づけることができる。それは、「戦略室」の仕事だと思う。将来のこの国のかたちを描いた上で、財政と法律とをセットで出す。
そのためには、十分な知恵が必要だ。多摩ニュータウンや成田空港、筑波学園都市、どれも計画的に行われたが必ずしも成功していない。国家が青写真を描いて知識人の知恵を借りても必ずしも成功するとは限らない。それくらい、将来の設計というのは難しいのだということも知っておいてもらいたい。さらに、難しさを隠さずに国民に説明することは、結果としては政権に有利に働くと思う。
普天間の問題はアメリカがYESといわない限りこちらからできることは、限られている。現実には条件闘争になるしかないと思うが、自分たちの立場ははっきり主張することは必要だと思う。
西洋では、裁判制度を見ればわかる通り、検察と弁護側が徹底的に自分の立場を主張して、最後に両方の意見をきいた上で決める。政治もそうだ。与党と野党が本気でぶつかりあい最後には何らかの合意をはかる。これが、永い闘争の歴史から生まれた、西欧の近代民主制の根本的な考えだ。だから、日本側が自国の主張をすることはあたりまえで、それを日本人自身がアメリカ様を怒らせてはなんねえ、と政権を批判するのはおかしい。親密で対等な関係だと向こうからいってきているんだから、こちらはいうべきことははっきりいうことが当然だ。
しかし、いおうとしても、首相の態度が煮え切らないなら外相は何を主張していいのかわからない。だから、大きな方向性は首相は早期に表明するべきだろう。
その後の細かい詰めを外相がするのが本来の姿だと思う。さらに、首相が煮え切らない態度が続けば、マスコミはそのつど首相批判をくり返し、結果が同じでも国民の政権に対するイメージはずっと悪くなる。
国民に批判されることが確実なことは、早めに一回で誠実に態度表明と説明をすることが、政権へのダメージを最も少なくする方法だと私は思う。
他の与党との関係だが、社民党は普天間移設に異議があるなら、鳩山オバマ会談の前に主張して、それらの意見を調整した上で会談に臨むのが本来のあり方だろう。それを、交渉に入って移設が難しいと方向が見えてから、急に主張するのは遅すぎるし先のことを考えていない無能ぶりを示すことになる。さらには、鳩山政権の支持率が下がれば社民党自身だって損をすることになる。
国民新党も、旧来の自民党的と小泉元首相に判断されたグループの集まりなのだから、民主党とは本来、理念が違うはずだ。それでも連立を組んでいるのは参議院で民主党が過半数をとってないからである。今の自民党の情勢からいって次期参議院で民主党が単独過半数をとる確率はかなり高いと思う。今は存在感を示すために、いろいろ主張しているが民主党との理念の違いが決定的になれば参議院選後には国民新党との関係は不必要になるかもしれない。確かに、お金さえあれば、大きな経済対策ができればいいと思うがお金がないのだから効率を優先するしかないのではないか。国債発行したってそれはいつかは税金その他で返さなければならない。しかも、利子つきで。だから、景気のことを考えなければ、国債を出すより増税した方がいいのだ。国債を出せば利子の分負担が増えるのだから。量的に大きな経済対策で景気がよくなる時代は変わりつつあるのは、歴代の自民党政権の景気対策を見ればわかるのではないか。

では、どういう景気対策がいいか。とにかくビジョンを示すことが大事だ。お金をどこにかけたらいいかを、投資家に示すために。しかも、夢物語ではなく実効性がなければならない。そして、これは大変困難な問題だという認識を国民と共有することも考えた方がいいと思う。市場経済に絶対はない。
その上で、私の乏しい知識の中で思いついたことを書く。いつものようにいうが、私は経済の専門家ではないので必ず専門家に聞いてから実行してもらいたいが。
エコがどういうものかを示すために実験的に「エコシティ」を作るのはどうだろうか。スマート技術などを導入して。それは成功を示すためではない。それを実際に示すことでどこまでが実現可能か、どのような問題があるかを知ることができるからだ。さらに、国民には日本の将来のビジョンがどういうものかを具体的に示せる。感情的にも「希望」を持てる。参加する企業は自分たちの技術を示すよいチャンスだと思って一生懸命いいアイディアを出そうと努力するだろう。その、技術が将来大きな役に立つかもしれない。エコに本気だということも示せる。技術者も具体化されしかも、国がお金を出してくれるならモチベーションも高まる。具体的なかたちで示すものは、人に与える印象は抽象的議論に比べはるかに大きい。対外的にも日本のエコが進んでいることを実感させられる。目標がはっきりしているので、政権の求心力、みんなで一つの目標に向かって結束しようというモチベーションも高まる。
まあ、これはひとつの思いつきでこううまくいく保証はどこにもないが、国民が自分の意見をいい参加して政治を決めることは民主党の理念にも反しないはずだからいわせてもらった。

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