2009年12月28日月曜日

説明


記者「今回の予算編成についての感想を伺いたいのですが」

鈴木報道官「まず第一に、アメリカ発の世界同時不況で、約9兆円の税収が減りました。もともと自民党政権下で、財政赤字の中、国債を発行しつづけて景気対策を行ってきましたが大きな効果は得られませんでした。自民党と業界との癒着もあり効率的に景気浮揚効果のある配分がなされなかったことも原因の一つですが、もともと先進国になってインフラが整備された場合、財政出動による景気刺激の効果は薄まります。従って、財政が厳しい中で景気を大幅に上げることを政府に期待されてもそれは大変厳しい。われわれは仕分けを行い無駄を省くと同時に現在の不況に対して救済も行わなければならない非常に厳しいシチュエーションにあることを御理解いただきたい」

記者「今回の予算の、よかったこと悪かったことはどこでしょうか」

鈴木「政権交代のおかげで利権の癒着というしがらみがなくなりました。そこで、お金を使える自由度が大変高まりました。従来からわれわれが主張してきた公共事業の無駄を省くことも、まだ十分ではありませんがかなりできたと思います。公共事業費は約18%削減できましした。一方社会保障費は約10%増やしました。これはわれわれの言ってきた『コンクリートから人へ』という理念を体現したものだと思っています。悪い点は、先ほど言った税収の大幅な落ち込みによって『マニフェスト』に書いた政策の実現が難しくなったことです。そこでやむを得ず、『マニフェスト』の中身を変更せざるを得なかったことです。これは先日、首相御自身が説明され国民にお詫びをしたところです」

記者「国債の発行が過去最大になったことについてはどのようにお考えでしょうか」

鈴木「収入が大幅に落ち込み、『マニフェスト』の実現のためのお金がなくなってしましました。そこで、借金をしてでも『マニフェスト』を実現するか、『マニフェスト』を見直すかという選択を迫られたわけですが、結局『マニフェスト』を部分的に変更することにしました。それでも、必要だと判断した政策の実現には、税収がないわけですから国債を発行するという手段をとらざるを得ませんでした。しかし、だからといって財政規律をわれわれが全く考えていない訳ではありません。国民の批判を覚悟の上で『ガソリン税の税率維持』という選択をしました。その結果、予算総額は要求の95兆円を下回る92兆円に抑えることができました。また国債の発行も当初の目標だった44兆円に抑えることが出来ました。しかし、絶対値としてはまだ高い水準にあります。このことはわれわれも危機感を持って対応していかなければなりません。こうなった理由は、一つは、世界的不況で税収が大幅に落ち込んだこと。一つは国民のみなさんに約束した『マニフェスト』を実現させるために歳出が増えたこと。一つは仕分けによる無駄の削減が小規模であったことだと考えています。最初にいった『世界同時不況』はわれわれにはどうすることもできません。『マニフェスト』については、実現できず国民にお詫びしたこともありますので『見通しがあまかった』部分があると認めざるを得ません、その点についてはわれわれの責任として反省とお詫びをしなければいけないと思っています。仕分けについても、史上初めて公開の場で予算が評価されたことは国民のみんなさんにも評価していただいていますが、期間が限られていたこともあり、結果として省けた無駄が小規模だったことを反省しています。今後はさらに大規模に無駄の洗い直しをするようにしていこうと考えています」

記者「中長期の成長戦略が見えないという指摘もありますが」

鈴木「戦略会議で多くの方々の意見を伺って方向性は固まってきました。長期的戦略は『コンクリートから人へ』と多くの人に理解していただけたのではないかと思います。また、短期的目標は実際の予算に細かく反映されています。そこで必要なのは『中期的目標』だと思いますが、それは現在骨子をいいいますと、『強みの発揮』『フロンティアの開拓』『成長の下支え』と目的別に大きく三つに分けました。第一の『強みの発揮』は1、『環境』です。これは恐らく誰も異論がないのではないでしょうか。石油エネルギーは有限ですから、代替エネルギーの開発は不可避です。その中で幸いなことに我が国では環境では世界的に進んだ技術を持っています。それを政府が後押ししてさらに国際的な協調へつなげていく努力をすることで、一方では『環境保護』、一方では『新たなビジネスチャンス』として展開していこうと考えています。『健康』についてはご承知のように高齢化は避けてとおれません。そこで、介護を含む広い意味での医療の人手不足が大きな問題になっています。かたや若者の就職難でもあります。この労働力を介護などに向けるシステムを構築できれば、就職難の若者に就職のチャンスを与えるとともに介護の人手不足解消にもなります。このような、知恵を使って効果のある政策を実現しようと現在考慮中です。
新たな市場開拓については、まずわれわれの目の前にあるアジアの新興国を単に生産拠点とするだけではなく大きな需要の可能性を持った地域と位置づけ、積極的にアジアでの事業展開を後押しします。国内に於いては『観光』など新しい分野を開拓して、地方の活性化をはかっていきます。単に地方任せにするのではなく地方分権とともに地方の活性化を考慮しなければかえって地方の負担は増えてしまいます。地方分権をして地方に自立してもらうためにも呼び水として政府が知恵とお金とで援助していきます。
さらに、これらの政策を実現するための次世代の人材を育てることも必要です。厳しい財政状況の中で、本当に必要な分野を峻別して、必要と思われるところ特に科学技術分野への投資は充実させていきます。
最後に国民のみなさんに御理解いただきたいのは、日本は現在予算の10倍もの借金を背負っています。財政規律を無視して歳出をのばせば借金が膨らみ財政規律が乱れ、のちに『信頼』という一番大事なものが失われてしまいます。ですから、われわれは御批判を覚悟の上で『マニフェスト』に反して暫定税率維持を決断し、ご説明しお詫びを申し上げました。このように財政が大変厳しいという現実を是非国民全員に認識していただきたいと思います。みなさんの要求にそえなかった面も多々あると思いますが、歳出はしぼらざるを得ないという事実をご理解いただきたいと思います。
また、かつての高度成長やバブルのように国がお金を出せば景気がよくなるという政策は、先進国になればなるほど難しくなります。当然、われわれは景気対策に全力で取り組みますが、それでかつてのような二桁の成長などは見込めないということもご理解いただきたいと思います。これからは、企業自ら新しいビジネスを開拓してそれを我々政府が全面的にバックアップする。そういう経済政策になっていきます。そのことを是非ご理解いただいて、今後の経営方針を決定していっていただきたいと思います。今日はありがとうございました」

記者「ありがとうございました」

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