2009年12月17日木曜日

意見


民主制は、国民が政治を(間接的でも)決定するシステムである。
国民はもちろん全員が政治経済のプロではない。
従って、素人であっても発言する権利はあるものと考える。

ここに一国民。素人の感想を記そうと思う。

まず、第一に訴えたいのは国民への説明の重要性である。なぜならば、国民はその政策がどのような意味を持つのかがわからないことがある。メディアの中には現実を無視したイデオロギーだけで(イデオロギーが不要だとは思わないが)評価するものもある。だから、政府の立場をわかりやすく説明することをしないと曲解される恐れがある。
アメリカでも報道官がいるので、私はメディア対策専門の役職を作ることをお勧めしたい。
官房長官は、他にも仕事が忙しいし、メディア慣れしてないおじさんが毎日出てきても政府の顔としては、あまりいい印象を与えない。首相が直接説明する場合、責任が重すぎて抽象的なことしかいえない。そうすると、マスコミが勝手に解釈して間違った印象を与えることもある。
次に、マスコミ世論。これは、非常に建設的で、専門的で、有効な意見もあるし、悪意に満ちた中傷もある。理想ばかりで現実性のないものも多い。よい意見と、無視すべき意見を聞きわける耳を持つことが必要だと思う。
マスコミを通じて、ぜひ説明してほしいことがいろいろある。
まず、現政権以前から、日本は莫大な財政赤字を抱えている。したがって、節約しなければならない。一方リーマンショックで歴史的な不景気が続き、景気対策もしなければならない。これは、矛盾する。その中で政策を実行するので誰がやっても非常に困難な状況にあることを国民に率直にわかりやすく説明してほしい。そうでないと、「財政赤字」も「不況」も鳩山首相のせいだと勘違いする人がでてくるので、そうなっては困る。

それから、「国債」の意味を意外と知らない人もいるので。説明してほしい。「国債」はお金を借りて、「利子をつけて返す」もの。将来、税金などでわれわれが返さなければならない。しかも、利子がついている。返済が長期になれば利子はさらに大きくなる。だから国債発行は景気刺激策など特別に必要な場合以外はできるだけ発行しないことは国民の負担を減らすためだ。それをケチだから国債発行をためらってると勘違いされてはたまらない。

財政と景気対策は矛盾することは先程述べた。では、どうするか。景気や国民の福祉に貢献しない予算はできる限りカットする。これは「刷新会議」の仕事。私はまだ不十分だと思うが考え方は間違っていない。

そして、景気対策は一時しのぎではダメ。なぜなら、毎年続けなければならず財政を圧迫するから。緊急避難的なものを除いては中長期的な戦略を持って、いいかえれば「哲学」をもって制定しなければならない。それは「戦略室」の仕事。同時にそのことを国民にわかりやすく、広く説明してほしい。
菅戦略相は次のようにいっている。「国が公共事業をすることで大きな景気浮揚効果があった時代があった。それが第1の道。しかし、もうすでに道路ができてしまったところに、お金をかけても景気浮揚効果は少ない。財政がひっ迫している中では、効率の高い景気対策をせざるをえない。だからこれは現在ではダメ。次に小泉総理がおしすすめた小さな政府。これは、財政をあまり使わないで民間の競争を奨励する。しかし、民間の競争だけだと、企業は利潤を出すためにリストラしたり工場を海外に移転したりする。すると、雇用が失われる。リストラして儲かった人と職を失った人との格差が生じ失業率も上がる。これが第2の道。そこで、戦略相は第3の道として、お金を使うよりも知恵を使って、新たな雇用を生み出すシステムを作ることを考えている。現在、就職難といわれているが、一方では介護の分野では人手不足といわれている。また、公共事業を縮小するなら、そこで職を失った人たちにあらたな職を提供する必要がある。例えば建設業者を林業に転職させるプログラムを作るとか。必要とされている分野はあるのでそこと、あまった人材とを上手くつなげる仕組みをつくる。環境問題でもお金を出すのではなく、例えば住宅を二重ガラスにして省エネにすることを義務づければ、ガラス屋さんが儲かる。そのように、今までは何兆円使ったかだけで量的に判断されていた景気対策を質的に高めることによって費用対効果を高める。これなどは、少し説明すれば国民も納得するのではないか。そのためにもかえすがえすいうが、国民への説明をしてほしい。今でも規模だけで景気対策を語る人がいるので。

中長期的な戦略が必要なことは識者の意見の一致するところだが、「環境」「雇用」「景気」「子育て」「科学技術」と絞ったことはよいことだと思う。どれも、将来的にも必要なものだし、反対する人はあまりいないだろう。それを、どれだけ実現するか「本気度」が試される。そのためには関連法案とセットでだして「本気度」を示すことも重要だと思う。新聞などでは、識者がかなり、有効と思われる提案もしている。メディアの質を見きわめた上で、本当に有効だと思われるものは積極的に取り入れることはよいのではないだろうか。

それから、いくら景気対策をしても実際に効果が現れるまでには時間がかかるということ。このこともわかっていない国民が多くいる。それも説明してほしい。株価は敏感に反応するが、新規事業が利益を出すまでには、数年はかかる場合があることも説明してほしい。

普天間の問題は、首相があまりにも優柔不断で八方美人なことが問題だと思う。もちろん日米関係も大事、沖縄県民との約束も大事。どちらかを一方的に無視した意見に私は組しないが、首相が(結論はすぐに出なくても)どういう哲学でことにあたっているのかがわからないので、日本側もどうしていいかわからないし、アメリカ側も苛立っている。こういう状態が長く続けば首相への批判は毎日報道される。政権の支持率にも非常に悪い影響を与える。「trust me」といったのを「現行案を受け入れる」と解釈したというのは、アメリカのムリヤリの理屈だろう。首相は「『trust me』とは、どういう結論になっても日米関係を壊すような結論には断じてしない、という意味だ」とハッキリ説明することは有効だと思う。社民党も、県外移設を本気で考えているなら、首脳会談前に与党で調整するべきだろう。私自身もオバマ大統領になって柔軟になるかと予測していたが、そうはならなかった。これは、私の勉強不足でお詫びするが、社民党も理想もいいけれど、現実に可能かどうかを考えなければ無責任だ。過去にも、「自衛隊違憲」「消費税率引き上げ反対」といいながら、自分が政権をとったら一夜にして翻したじゃないか。理想をいう以上は、極めて厳しい考察が必要なのだ。そのような厳しさを私は社民党に感じない。期限をきらないということになれば、この不安定な状態がいつまでも続くことになり政権には明らかにマイナスだ。百歩ゆずって社民党の意見をと入り入れるにしてもおおまかでも、いつまでかは示すことは必要だと思う。

首相の虚偽記載の問題は、母親から大量な資金援助を受けたのが悪い印象を国民に与えるのを恐れて他人名義にしたものだが、特定の団体から裏献金をもらって便宜をはかったという問題に比べれば、罪は軽い。でも、罪であることには変わらない。法的、道義的責任はとらなければならない。私の考えは、この場合は「ワシントンの桜作戦」で、正直であることでリスクを引き受けることで逆に「この人は信頼できる」と思ってもらうこと。とにかく一定のけじめをつけないと政権の命取りにもなるので、曖昧な態度はよくない。なんらかの責任と説明をしてもらいたい。

財政については、マニフェストを見れば予算をゼロから組み直せば、無駄を省くことによって公約を実現できるお金はでるとあったが、95兆円の予算で7000億円の無駄を省いて、どれだけムダを省いたといえるのか。結局、国債の史上最大の発行。いい加減にしろ!といいたい。私は選挙前から、ムダを省いただけでそれだけの予算が出るとはどうしても思えない、とブログで強調していた。マニフェストの概算が甘かったか、見直しが甘かったどちらか、もしくは両方だろう。それは、民主党さん認めますか?認めないならその理由をいってください。認めるなら、次回の参議院選挙では実現不可能な公約はしない。そのためには現状認識を厳しくする。それは、必ずやってもらいたい。「ムダを省けばできます。できます」といっておいて、いざ政権をとったら、史上最大の予算に、史上最大の国債。あきれてものもいえない。私は理念として民主党を支持するし、その限りでは正しい政治をやっていれば世間の風当たりがどんなに強くても民主党を支持し続ける。しかし、正しい政治をやってないなら、いうべきことはいおうと思う。悪意ではないし、一生懸命やってる姿勢は認めるが、実際、選挙前にいったこととかけはなれたことをやっているのでは、なさけない。私の主張を理解する民主党員がいれば、二度とこのようなことがないようにしていただきたい。

小沢幹事長に権力が集中しているとの批判もあるが、幹事長に党の権力が集中するのはあたりまえで、選挙対策を積極的にやるのもあたりまえ。しかし、幹事長が政府の施策まで左右することは越権行為だろう。もしそうなら、責任は小沢幹事長と鳩山総理にある。
鳩山さんがきれいごとばかりいって、ウラできたない仕事は小沢さんにやってもらっているので頭が上がらないなら、きれいごとはきれいごとにすぎなくなる。
首相が幹事長にNOということができなければ、小沢批判報道はずっと続くだろう。実際に頭が上がらないなら、報道以前に民主制の問題だ。

私は最近、小沢幹事長の「日本改造計画」を読んでいるのだが、今の民主党のやっていることを10年以上前から極めて理路整然と述べられていて驚いた。そして、「強引」と批判されても、小選挙区制を導入し10年がかりで政権を奪還しその理想を実現しようとしている点では、私は小沢幹事長を極めて高く評価している。しかし、もし幹事長が首相よりも実際の権力を持っているのなら、小沢さんの主張する、「首相のリーダーシップ」に反するのではないか。そのようなことがないように、鳩山首相には小沢さんにもNOといえるぐらいの強さを持ってもらいたい。

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