2009年12月24日木曜日

我慢


私が関心のあることのうち、鳩山首相の発言の態度については前々回書きました。
今回は、何度もくり返しになりますが「景気」と「財政」の問題について書こうと思います。
とにかく大借金を抱えて、景気も20年間不況。こういう状態で、どのような手を打てばいいのでしょうか。

結局は、
1、無駄を減らし効率的な政府にする。
2、費用対効果を考えて、優先順位を示し効果の高いところに重点的に財政をつぎ込む。

どんな経済学者でもこの2つに集約されることに異論はないんじゃないでしょうか。
では、それでどれだけ効果が出るか。
いわゆるケインズ効果が出るのはインフラの整っていない場合です。ですから、これだけインフラが整った日本のような先進国では、公共事業のような政策は景気浮揚効果は薄いと考えられます。
今の唯一のみんなのコンセンサスが得られる分野は「環境」でしょうが、太陽光エネルギーはまだ効率が悪く採算がとれるまで何年もかかります。しかし方向としては将来そちらにいくでしょうから期待はできます。

無駄を省くことについては、難しいのはハリウッド映画に出てくる悪役のような悪者がいてそいつをやっつければいいという話ではないからです。今の与党は、かつてはその悪役を「自民党」と「官僚」にしたてました。しかし、実際はどうでしょう。民主党が300議席とって政権が変わったら借金が減りましたか?予算も国債も史上最大。いくつかの事業でムダを省いたと主張しても全体でこれだけお金を使っているのならムダを省いたとはとてもいえません。
なぜこうなったのか。先ほどもいったように、「悪者」がいるからこうなるんじゃないんですね。むしろ「いい人」すぎるから、頼まれると断れずつい、じゃあいくらいくら出しましょうといってしまう。しかしそれはただ借金を重ねただけで何の解決にもならない。しかし目の前で困っている人がいるとつい「じゃあお金を出しましょう」となってしまう。つまり国民を無視したからではなく無視できなかったからこうなったのです。
ですから、鳩山首相のやさしさは実は(長期的に見れば)国民に負担を強いていることになるのです。各大臣もそうです。
これは、日本人の国民性もあるのかもしれません。
拳銃を持って強盗するような人は少ない。そういう「悪」ではないんですね。「やさしい」から、頼まれたり義理のあるときにNOと言えないことが原因なんです。
だから、本当に国民のことを考えたら、かわいそうに見えても心を鬼にして断固NOと言うべきときがあるのですが、なかなかこの内閣はそれができない。
「悪者」を叩くのは簡単ですが、「やさしさ」を止めさせるのは非常に難しい。本人たちは人助けしてると思っているのだから。でも、そのお金は全て国民が負担しているんだから、本当はやさしくもなんともないんですが、本人たちは予算をつけたのを「よいこと」をしたと思っている。それが本当の「やさしさ」でしょうか。ただ借金して人をたすける。しかもその借金は国民が将来負担しなければならない。それを「やさしさ」だと考えてる人にはどこかズルいところがあるように思います。「やさしい」からというより「きびしい」ことをいうと反発されるから、それがこわくて断るべきところで断れない。これは本当の「やさしさ」とはいえません。「無責任」なごまかしです。

国民の負担を本当に減らそうというのなら、どこかで負担をして借金を返していかなければならない。
そのためには、取る分を増やすか与える分を減らすかしなければなりません。
それなのにそれができないから、史上最大の予算と借金になってしまうのです。
もちろんメディアの問題もあって、一部のメディアは財源も考えず要求だけ主張して国民に媚を売るものもあります。
くりかえしますが、国民の負担を減らすためには、税を上げるかサービスをカットしなければならないのです。それは、官僚の天下りや自民党の権力の癒着のせいではありません。この期に及んで、悪いのは「官僚」だ「自民党」だというのは責任逃れにすぎません。悪いのは、予算要求にNOと言えなかったあなたの責任なのです。
これが民主党の閣僚にいいたかったことです。

同時にこれは国民のみなさんにもいいたかったことです。借金をしてでも財政を出動するのは緊急な景気対策など特殊なときだけです。そうでないと借金がどんどん溜まって国民の負担がどんどん増えます。ということは、私も含め国民が政府によい政治をしてもらおうと思ったら、自分たちも要求を控えてがまんするから、財政を健康にしてくださいといわなきゃならないのです。厳しさを求められているのは我々国民も同じなんです。
それを予算は要求して断られると怒るくせに、一方では国の財政が悪いと批判するのは、無責任きわまりないことです。

民主党には「やさしさ」よりも「厳しさ」を要求したい。
そして、我々国民には「お金のない政府に要求ばかりしないでがまんするときはがまんしよう」と呼びかけたいです。
もちろん景気対策も福祉も必要ですが、焦点を絞ったり全体のレベルを下げないとならない。こんな当然のこともわからない人もいるので言わせてもらいました。
要は、政治家も国民も「我々はとてつもなく大きな借金を背負っている」というまぎれもない事実から目をそらさずに、その前提の上で政治を行ったり、批判したりしましょうということです。

0 件のコメント:

コメントを投稿