2009年10月21日水曜日

小泉首相

私の小泉元首相にたいする考えは以下の通りである。
彼の言動を見ていると、一つの目標に向かって邁進しているように見える。その目標は、私は「財政の健全化」だと思う。その手段が、民にできるものは民にまかせる、小さな政府だったと考えている。その象徴が郵政民営化だと思っている。そして、財政を悪化させている最大の原因が利益誘導型の自民党の古い体質の議員たちだと考えて、郵政選挙は彼らを排除することが目的だったと思う。靖国参拝は右翼へのエクスキューズであり、彼に信仰心があるとは私は思えない。昭和天皇が靖国参拝を危惧されていたメモが発見されても、彼は完全に無視した。天皇に対する忠誠心も高くはないと思う。
郵政事業自体は黒字だが、財政投融資という国会の審議を経ない莫大な金が政治家の思惑で、経済性を無視して不合理に使われていた。それを止めさせたいというのは本心だったと思う。
私は、大きな政府支持者なので彼の政策には真っ向から反対だ。私の立場は、政府は弱者救済のために援助をする、そのかわり消費税増税を容認するという立場だ。それが正しいか間違っているかということはいえない。これは価値判断であり、個人の自由である。
立場は違うが、小泉元首相を公平に見て評価する点がいくつかある。
一つは、政策の一貫性。
一つは、自分の立場を明確に表明したこと。
一つは、そのために反対覚悟で実践したこと。

国鉄民営化のとき、大きな政府支持の私は反対だった。採算が取れなくても国民に必要なものには税金を使うべきだと思ったからである。
しかし、いまのJRを見ると確かに効率的になりサービスも上がったことは認めざるをえない。その教訓から、ある程度の市場原理の導入は必ずしも弱者を困らせることにはならないと考えるようになり、市場原理をすべて排除はしないという立場に変わった。

郵政民営化はどうか。基本的には国営化でも民営化でも、これだけ宅配便が充実した現在、サービスにそれほど大きな違いはないと思っている。国営化や三事業の統合でサービスが向上するなら、それを支持する。
しかし、財投の無駄はなんとしても省き効率化しなければならない。それが国有化でできれば一番いいのだが、できるか。
亀井大臣がこだわるのはサービスの向上もあるが、小泉元首相への個人的恨みもあるのではないかと思うこともある。
もし、郵便局長の利益のためであれば言語道断である。しがらみがない政権交代だからこそ無駄を省けるという公約に明らかに反する。
ですから、亀井大臣には是非サービスの向上と同時に、財投の効率化を仮に郵便局長に厳しい政策であってもやり遂げてもらいたい。
それができなければ、国民新党への批判は増大するだろうし、民主党政権自体の国民からの信頼も失うことになると思う。

最後に言いたいのは小泉元首相の政治手法である。確かに国民に説明はしたが、普通の国民は郵政が民営化したら何が良くなるかはよくわからなかった。ある世論調査では、郵政民営化は国民の関心事の3位であり、中身を理解している人は少なかった。さらに、中身を細かくきくと、自民党案より民主党案の支持の方が上回っていた。
彼は、国民はどうせ分からないし国会議員は自分の利益ばかり考えているから、自分がやってしまって既成事実を作ってしまおうと思ったのだろう。そもそも、参議院で否決された法案を衆議院を解散して改める事自体、民主制の理にかなっていない。しかし、彼の思惑通り、参議院の自民党の反対者は怖れをなして、意見を変えた。
実は、人から恨みを買う原因はこのように自分以外の人間を全く信用しない、元首相の政治手法にもあると私は批判したい。一見、強引にでも決定すれば将来は報われると思ったのだろうが、他人を虫けらのようにしか見ない彼の手法は、長期的に見れば怨念を残すことになる。
織田信長も結局は天下を取れなかった。
しかし、家康は100年先を見て、地方自治を大幅に認めると同時に徳川への忠誠を続けるシステムを構築し、自ら生存中に将軍職をゆずり、跡継ぎ争いを避けた。私は信長ではなく家康こそが真のマキャベリストだと思う。
江戸幕府は、身分制度など悪い面もあったが、260年の平和を築いた。
日本では、信長や秀吉の方が人気があるが、壊すだけでは国民は幸せにならない。スクラップアンドビルドのビルドが必要である。政治家は100年先を考えた視点をもって社会の仕組みの構築の方もしてほしいというのが私の願いだ。

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