2009年11月29日日曜日

ドバイ


今回のドバイショックで、円高になり景気に悪い影響があることが心配される。
そこで景気とは別に2つのことを思う。
1、これは、多くのエコノミストに感情的に反発されそうだが、ドバイショックは勿論、日本政府の責任ではない。しかし、何らかの対策は必要だろう。それは、当然の話。
ところで、世界的に株が下がった中、何故「円」だけが買われたのか?
新聞を読む限り、消去法で「円」しかなかった、と他の通貨の欠点をあげているが、日本だって史上最高の国債発行、景気対策はまだ出ていない状態であった。悪い条件はいくらでもある。
しかし、投資家の多くは「緊急避難」にしろ「円」を買いまくった。
投資家はどうすればより多くの利益をあげられるかを冷徹に計算する。
そして「円」にとりあえず逃げた。
もし日本が、日本政府が本当にダメならばいつ下がるかわからない「円」を緊急避難場所にするだろうか?

マスコミは権力をチェックするのが仕事だから当然だが、私たちはいつも現政権の批判ばかり聞かされている。また、他国と比べて批判されることが多い。だから、つい日本は他の国に比べてダメなんじゃないかと思ってしまいがちである。
でも、例えば教育問題でアメリカに素晴らしい学校があるとしよう。だからアメリカ型の教育システムを導入しようと多くの人は思う。しかし、その一方で金持ちが行ける私立の学校と、貧しい人が行く公立の学校の格差が広がり、ひどい学校もたくさんある。毎日、正門前で金属探知機で拳銃を持っていないかをチェックする学校。託児所付きの高校。麻薬、セックス、暴力におかされた教育現場があることも知らなければならない。
だから、ある分野の一面だけ比べて外国の方がいいと思ってきた近代日本だが、必ずしも日本は自分で思っている程ひどくはないのかもしれない、と思うようになってきた。

「消去法で日本が残った」というけれども、つまりは「円」だけが買われる決定的な理由がないとすれば、「消去法で日本が残った」と言うことは「(絶対値は低いが)相対的には「円」が最も信頼できる通貨だと投資家が判断した」ということと同じことを意味する。絶対値は「リーマンショック」「ドバイショック」で世界全体が下がっている。もちろん日本でも下がっている。その中で、よりマシなところとして「円」が選ばれたとしたら、ある意味世界はけっこう日本を高く評価しているのかもしれないと思った。
自惚れに陥るべきではない。しかし、客観的に考えた結果であれば自分たちを肯定することもあってもいいのではないか。今まで国内のニュースばかり見ていたから、日本の対策は遅れてると思っていたが、他の国も実はかなり遅れているということが今回の「円高」でわかった。
私は日本をヨイショする気は全くない。ただ真実がどこにあるかを知りたいのだ。だから公平にいって日本は日本人自身が思っているよりも外国からの信頼度は高いのかもしれない。
これは、今までの自民党政権のお陰かもしれないし、新政権への評価なのかもしれないが。

今、たまたま英語の小論文を書く勉強をしているのだが、今回の宿題が「cause and effect(原因と結果)」だが、報道はeffect の方を強調して現政権に対応を要求するが、私としてはcauseの分析も不可欠だと思う。
「日本が(相対的に)最も信頼できる国だ」というのは、今まで政権を批判してきたメディアはいいたくないだろうが、「消去法で日本が残った」ということはそういうことだ。
しかし、批判するなとは思わない。私は今までの民主党のやってきたことは「ガンバってはいるけれどもマニフェストは実現できていない」と思う。
予算をゼロから組むといっておきながら何故見直しが3兆円だけなのか?95兆円全て精査するはずじゃなかったのか。仮に3兆円全てが廃止になっても全体の3%に過ぎない。95兆円が92兆円になるだけで財政の健全化とはとてもいえない。ましてや野党時代に無駄を省けといっていた議員が大臣になったら予算を要求する醜態は許しがたい。
基地は県外移設するんじゃなかったのか?無駄を省けばマニフェストの実現に足りるだけのカネが出てくるんじゃなかったのか。


もちろん、それでも少しでもマニフェストに近づく努力はするべきだと思うが、マニフェストを作る段階での分析が甘過ぎた、結果国民の期待を裏切ったことはしっかりと受け止めてもらいたい。その上で、次期参院選で実現可能なマニフェストを出してもらいたい。
このように、批判したいことは色々あるが「円高」をeffectだけを見て何か政府が悪いことをしたかの様な印象を与える報道は不適切だ。藤井財務大臣も「『円高』とは我々の通貨の価値を高く評価してくれたことの現れなのでそれはありがたいが、しかし輸出業者のために対策は行わなければならない」ぐらいのことを言ってもいいのではないかと思う。こういう視点の報道があまりないように思うのでいわせてもらった。
2、は「リーマンショック」の次の「ドバイショック」で「グローバル化した金融」は、一つコケると世界中に波及するという極めて危険なシステムであるということがわかった。一方ではそれを収束させるためには国際協調しなければならない。自由化が「経済的」豊かさをもたらすのは確かだが、そういう負の側面もあることは気をつけておかなければならないだろうということだ。

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